設備投資向けの補助金に採択されたとしても、後払いの補助金では、原則として補助金が入金される前に対象経費の支払いを済ませる必要があり、採択後の資金調達に悩む方が一定数存在します。
そこで、金融機関から「つなぎ資金」を借りて、支払いに充てる事業者もいます。
そこで今回は「つなぎ資金」を借入するためのポイントを解説します。
つなぎ資金とは
“設備費等の支払”から“補助金の入金”まで、一時的に必要となる資金です。
後払いの補助金を活用して設備投資に取り組む場合、事業者が設備資金等の全額をいったん自社で支払い、補助金はその後に受け取ります。
その間の資金を、金融機関(銀行等)からの融資で「つなぎ資金」として調達する方法があります。
たとえば小規模事業者持続化補助金も、公募要領で「補助金は後払い」と明記されています。
【補助金の採択から入金まで(持続化補助金の例)】
| 1 | 補助金の採択 |
| 2 | 見積書等の提出 |
| 3 | 交付決定 |
| 4 | 設備等の発注・納品・検収 |
| 5 | 設備費等の支払い |
| 6 | 実績報告 |
| 7 | 補助金額の確定・請求 |
| 8 | 補助金の入金 |
持続化補助金では、補助事業の実施期限までに、支払いと事業の遂行の両方が完了したものだけが補助の対象です。制度によって手順は異なりますが、設備費等の支払いから補助金の入金までにタイムラグがあるため、一時的に融資などで資金を調達することが必要になるケースがあります。
「つなぎ資金」の相談は申請前がお薦め
銀行等へ「つなぎ資金」を相談するタイミングは、いつが良いのでしょうか?
結論から言えば、補助金を申請する前の相談がお薦めです。
その理由は、以下のとおりです。
「つなぎ資金」の審査を早めに始めやすい
事前相談や審査を始められる時期は、金融機関や融資商品によって異なります。
申請前に相談しておけば、銀行等の支店内で相談が共有され、採択後の審査に早めに取りかかってもらえる場合があります。
事業計画の実現性を説明しやすくなる
補助金へ申請する際は、設備資金をどう調達するかも、事業計画書で説明しておきたい項目です。
事業計画書に「今回の設備資金については、●●銀行から前向きな回答を頂いており、資金調達については問題ないと考えている」と書ければ、計画の実現性を説明しやすくなります。
銀行等へ相談する際のポイント
「つなぎ資金」の借入を相談する際のポイントは、以下のとおりです。
- 作成途中の事業計画書を準備する(新事業の概要が分かるレベル)
- 設備投資等の内訳と総額を明確にする
- 今後数年分の売上・利益の計画を作成する
相談の場では、経営者自身が事業計画や資金の使い道を説明できるよう準備しておくとよいでしょう。
また、取引のある銀行等が認定経営革新等支援機関(※)であれば、事業計画づくりへの助言も、あわせて担当者に打診してみましょう。
(※) 認定経営革新等支援機関とは
経営課題に悩む中小企業を、支援できる知識や経験が一定レベル以上と国が認定した個人・法人・金融機関を指します。
「つなぎ資金」向けの制度融資について
都道府県によっては、補助金の交付決定を受けた事業者向けに、独自の支援制度を設けています。その一部をご紹介します。紹介する制度は、補助金・助成金の交付決定を受けた事業が対象です(2026年10月時点で確認した内容です)。
つなぎ資金に利用できる制度の一例
| ①補助金・助成金つなぎ | ②セットアッパー | |
| 種類 | 制度融資 | 保証制度 |
| 地域 | 東京都 | 千葉県 |
| 実施団体 | 東京都 | 千葉県信用保証協会 |
| 内容 | 融資限度額・1億円(組合は2億円) ・未交付金額の3分の2以内 | 保証限度額・一般枠8,000万円・創業枠3,500万円(合算して8,000万円以内) 保証料率・一般枠0.45%〜1.90%・創業枠0.80% |
東京都の制度融資「補助金・助成金つなぎ」
東京都の制度融資「補助金・助成金つなぎ」は、東京都中小企業制度融資の基本要件を満たす中小企業者または組合が対象です。対象となる補助金・助成金は、東京都、都内区市町村、国・独立行政法人、都の関係団体のいずれかが所管するもの、または東京都・都内区市町村・国・独立行政法人が他の団体に委託・補助して行うものに限られ、その交付決定を受けた事業が融資の対象です。融資限度額1億円(組合は2億円)で、補助金・助成金の交付決定額のうち未交付金額の3分の2以内が上限です。利率は固定金利か変動金利で、要項の利率区分に従います。
返済は原則として一括返済です。
令和8年度 東京都中小企業制度融資要項(10月1日改定版)
*「補助金・助成金つなぎ」の項を参照。利率などは改定されることがあるため、申込の際は東京都の公式ページで最新の要項を確認してください。
千葉県の保証制度「セットアッパー」
千葉県の保証制度「セットアッパー」は、保証限度額が一般枠8,000万円、創業枠3,500万円です(合算して8,000万円以内)。
保証料率は一般枠が0.45%〜1.90%で、創業枠が年0.80%となっています(一般枠は有担保と会計参与設置会社でそれぞれ0.1%の割引、創業枠は会計参与設置会社で0.1%の割引があります。経営者保証を不要とする場合は、割引後に上乗せとなることがあります)。返済は原則として一括返済です。対象は国・地方公共団体・公的機関から補助金・助成金の交付決定を受けた中小企業者で、創業枠は別に創業関連保証の資格要件があります。
まとめ
補助金の採択には事業内容だけでなく、事業を確実に遂行するための設備資金の確保も重要なポイントであり、事業者によっては「つなぎ資金」の活用が欠かせない場合があります。
申請前の段階から、事業計画と資金繰りを一緒に考えておくと、採択後に慌てずに済みます。
申請の相談
補助金の申請と、つなぎ資金を含めた資金計画の整理は補助金申請の相談ページから受け付けています。使える補助金は補助金データベースで探せます。
ご相談の前に、支援の内容と進め方と、担当する中小企業診断士のプロフィールをご覧いただけます。


