業務改善助成金(令和8年度)の対象・上限額・申請期限を整理

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最低賃金を引き上げて、同時に設備投資もしたい。そんな中小企業・小規模事業者が使える厚生労働省の制度が、業務改善助成金です。令和8年度(2026年度)の交付要綱・要領とリーフレットにもとづいて、対象になる条件、コースと上限額、申請期限、つまずきやすい点を整理します。

最新の内容は厚生労働省の業務改善助成金のページで公開されています。厚労省の助成金全体の流れは厚生労働省の助成金まとめに、非正規雇用の処遇改善ならキャリアアップ助成金にまとめています。

業務改善助成金とは

事業場内で最も低い時給(事業場内最低賃金)を引き上げ、生産性向上に役立つ設備投資などを行ったときに、その費用の一部が助成される制度です。機械設備の導入のほか、コンサルティングの費用も対象になります。

項目内容
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目的事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上のための設備投資等をセットで支援する
対象中小企業・小規模事業者(みなし大企業を除く)の事業場。申請は事業場ごと
助成の仕組み設備投資等の費用に助成率をかけた額と、助成上限額のいずれか低い額
令和8年度の申請期間9月1日から、事業場がある都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日のいずれか早い日まで
事業完了期限交付決定のある年度の1月31日

出典:業務改善助成金のご案内(令和8年度リーフレット)、交付要綱

助成は、賃上げと設備投資のどちらも「これから行うもの」が対象です。すでに引き上げた賃金や、交付決定前に買った設備は助成されません。労働者がいない事業場も対象外です。

対象になる事業者と事業場内最低賃金の条件

主な条件は次の3つです。

  • 中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係にあるみなし大企業は除きます)
  • 事業場内最低賃金が、令和7年度の地域別最低賃金以上で、令和8年度の地域別最低賃金未満であること(改定後と同額の場合は対象外)
  • 解雇や賃金の引下げなど、不交付事由がないこと

事業場内最低賃金とは、その事業場で最も低い時間給のことです。この助成金では、雇入れ後6か月を経過した労働者の時間給を指します。引き上げる対象も、雇用保険の被保険者です。

不交付事由の主な例は、解雇や賃金の引下げ、労働保険料の継続した滞納などです。解雇や賃金の引下げは、申請書の提出日の前日から6か月前の日以降、実績報告の前日または賃上げから6か月を経過した日のいずれか遅い日までの間が確認の対象です。詳しくは交付要綱の第4条で確認してください。

コースと助成上限額、助成率

引き上げる金額で、50円コース、70円コース、90円コースの3つに分かれます。上限額は、コースと「引き上げる労働者数」で決まります。この人数には、事業場内最低賃金の労働者と、その引上げで賃金額が追い抜かれる労働者が入ります。ただしどちらも、申請コースの金額以上に引き上げる必要があります。追い抜かれる労働者は、事業場内最低賃金を引き上げるときに同時に引き上げた人数に限ります。

コース事業場内最低賃金の引上げ額助成上限額(一般の事業者)特例事業者で10人以上を引き上げる場合
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50円コース50円以上30万円から110万円130万円
70円コース70円以上40万円から230万円300万円
90円コース90円以上90万円から450万円600万円

同じ事業主が複数の事業場で申請する場合、申請額の年間上限は事業主単位で600万円です。事業場規模が30人未満の事業者は、引き上げる労働者数によって、さらに高い上限額が適用される区分があります。人数ごとの細かい金額は、公式リーフレットの上限額の表を見てください。

助成率は、引上げ前の事業場内最低賃金で決まります。

引上げ前の事業場内最低賃金助成率
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1,050円未満5分の4
1,050円以上4分の3

特例事業者は、事業場内最低賃金が1,050円未満の事業場(賃金要件)、または原材料費の高騰などで最近6か月間平均の売上高総利益率または売上高営業利益率が前年同期より3%ポイント以上低下した事業者(物価高騰等要件)です。どちらかに当てはまると、10人以上の区分の上限額を使えます。

金額の計算例

リーフレットの例では、事業場内最低賃金が1,040円の事業場が、8人の労働者を1,130円まで引き上げます(90円コース)。設備投資の費用が600万円なら、設備投資費用に助成率をかけた額は480万円、90円コースで8人以上の上限額は450万円です。低い方の450万円が支給されます。

対象経費の例

対象は、生産性向上や労働能率の増進に役立つ設備投資等の費用です。助成対象経費の合計は10万円以上が必要です。

  • POSレジシステムの導入、リフト付き特殊車両の導入など、機器・設備の購入
  • 中小企業診断士や社会保険労務士など、経営コンサルティングに資する国家資格を持ち、常態としてコンサルティングを業とする人による経営コンサルティング(業務フローの見直しなど)。金融機関の経営相談も対象です
  • 専門家による従業員向けの研修、システム開発の委託、機器の設置費用

対象外になる例も押さえておきます。

  • 広告宣伝費、単なる経費削減のための費用(LED電球への交換など)
  • エアコンの設置や内装工事など、快適化が目的の職場環境の改善
  • 自動車(特殊用途自動車を除く)。以前は特例で対象でしたが、令和8年度は対象外です
  • パソコン、スマートフォン、タブレットなどの端末。ただし特例事業者のうち物価高騰等要件に当てはまる場合は、新規導入が対象になります

業種ごとの設備の考え方は、厚労省の生産性向上のヒント集が参考になります。対象になるかどうか迷う経費は、買う前に労働局かコールセンターへ確認すると安全です。

申請の流れと申請期限

  1. 事業場内最低賃金の引上げ計画と、設備投資等の計画を立てる
  2. 見積書(原則として二者以上)などを添えて、交付申請書を都道府県労働局へ提出する(郵送、持参、Jグランツによる電子申請)
  3. 申請書が労働局に届いたあと、地域別最低賃金の発効日の前日までに、事業場内最低賃金を引き上げ、就業規則等に定める
  4. 労働局の審査を経て交付決定。決定後に設備の発注・導入と支払いを行う
  5. 事業完了後、事業実績報告書と支給申請書を提出する
  6. 審査を経て交付額が確定し、助成金が振り込まれる

申請期限は、都道府県ごとに違います。令和8年度の申請期間は、9月1日から、事業場の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日のいずれか早い日までです。厚労省は、都道府県によっては9月末が申請期限になるとして、再周知しています。自分の都道府県の発効日は、令和8年度地域別最低賃金の全国一覧で確認できます。

主な時間の目安は次のとおりです。

場面期限・目安
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交付決定申請書が労働局に届いた日から、原則3か月以内に通知
事業完了期限交付決定のある年度の1月31日(納品、支払完了、賃金引上げのいずれも)。やむを得ない理由があれば、理由書を添えて3月31日までの延長を申請できる
実績報告事業の完了日から1か月を経過する日または翌会計年度の4月10日のいずれか早い日まで
助成金の確定通知報告書等が届いた日から、原則20日以内

郵送や持参では、末日が行政機関の休日の場合はその前の開庁日までに届く必要があります。9月末が期限の都道府県は、すでに受付を終えています。自分の事業場の期限は、上の一覧と労働局で確認してください。予算の範囲内で交付されるため、申請期間内でも募集が終了する場合があります。

つまずきやすい注意点

  • 交付決定前の発注・納品・契約は対象外です。 理由を問わず、事前着手は認められません
  • 賃上げは申請より後です。 申請前に引き上げた賃金や、申請日より前に適用した就業規則の改正は対象になりません。発効日の当日に引き上げた場合も対象外です
  • 賃上げは1回です。 複数回に分けた引上げは認められません
  • 支払いは原則として振込です。 ポイントやギフトカードによる支払いは不可です。クレジットカードなどで払う場合は、公式Q&Aで、事業完了期限(原則1月31日。延長が認められたときはその期限)までに口座から引き落とされていないと対象外とされています。交付要領には3月31日までとの記載もあり、資料の間で食い違いがあるため、労働局に確認してください
  • 郵送は到達日で判断されます。 消印が期間内でも、労働局への到達が期限を過ぎると認められません
  • 同じ事業場の申請は年度内に1回までです。 過去に受給した事業場も申請できます
  • ほかの補助金との併用に注意が必要です。 同じ経費に国や自治体から補助金等を受けている場合は、対象にならないことがあります

厚労省は、厚生労働省から委託を受けたとして助成金の活用を勧誘する事業者がいるとして、注意を呼びかけています。厚労省や労働局が、特定の事業者に勧誘を委託することはありません。

これまでの変更点

令和7年度までのコースは、30円、45円、60円、90円の4つでした。令和8年度は50円、70円、90円の3コースに再編されています。助成率の区分も、令和8年度は1,050円を境にしています。また、令和7年9月5日以降は、賃上げを先に済ませていても計画の提出を不要としていましたが、令和8年度は賃上げ後の申請ができません。過去の記事や古い資料で見た数字とは異なる場合があるので、必ず令和8年度の要綱・要領で確認してください。

よくある質問

10月の最低賃金改定に合わせて、すでに賃上げを済ませた場合は使えますか

申請より前に賃上げを実施した場合は対象外です。賃上げは、交付申請のあとで、かつ地域別最低賃金の発効日の前日までに実施する必要があります。

パソコンや社用車は対象になりますか

一般の事業者では、パソコンなどの端末と、特殊用途自動車以外の自動車は対象外です。ただし、POSシステムや会計給与システムなど、特定業務専用のシステムを動かす目的が明らかなパソコン等は、対象になる場合があります。特例事業者のうち物価高騰等要件に当てはまる場合は、パソコン等の新規導入が対象になります。

社会保険労務士に申請を頼めますか

申請事業場の労働者以外の第三者として、社会保険労務士または弁護士を代理人に選べます。ただし、見積書を提出した業者や、助成対象経費の契約相手は、代理人になれません。

申請の相談

設備投資の計画づくりや、対象になりそうな経費の整理はご相談ください。賃金台帳や就業規則に関わる確認は、社会保険労務士への相談もおすすめします。申請の窓口は都道府県労働局です。制度に関する問い合わせは、業務改善助成金コールセンター(0120-366-440、平日9時から17時)でも受け付けています。

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