事業再構築補助金(第10回公募)の変更点

補助金・助成金
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ポストコロナ・ウィズコロナ時代に対応した大胆な取り組みを図る事業者を支援する「事業再構築補助金」は、令和5年度において制度の大幅な見直し・拡充が行われました。

主な変更点について整理します。

事業再構築補助金とは

新型コロナウイルス感染症の影響の長期化や物価高騰・原油高により、当面の需要や売上の回復が期待しづらい中、思い切った事業の再構築に挑戦する中小企業等を支援する補助金です。

必須要件

A:事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と作成し、一体となって新規事業に取り組むこと

B:補助事業終了後3~5年の計画期間中に、付加価値額(※)を年率平均3~5%以上増加させること

(※)付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

事業再構築補助金(第10回公募以降)の全体像

申請類型補助上限額(※1)補助率
成長枠2,000万円~7,000万円(※2)中小企業1/2、中堅企業1/3
グリーン成長枠<エントリー>中小企業4,000~8,000万円(※2)、中堅企業1億円
<スタンダード>中小企業1億円、中堅企業1.5億円
中小企業1/2、中堅企業1/3
産業構造転換枠2,000万円~7,000万円(※2)中小企業2/3、中堅企業1/2
サプライチェーン強靭化枠5億円(建物費を含まない場合3億円)中小企業1/2、中堅企業1/3
物価高騰対策・回復再生応援枠1,000万円~3,000万円(※2)中小企業2/3(一部3/4)、中堅企業1/2(一部2/3)
最低賃金枠500万円~1,500万円(※2)中小企業3/4、中堅企業2/3

(※1)補助下限額は100万円 (※2)従業員規模により異なる

(参考資料)「事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要」

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/hosei_yosan.pdf

見直し・拡充されるおもな点

今回見直し・拡充される点について、申請類型ごとに、対象となる事業者とメリット(補助上限額・補助率の引き上げ等)を案内します。

成長枠の創設

成長分野への大胆な事業再構築(新規事業)に取り組む事業者を支援するため、「成長枠」が新設されました。

対象となる事業者の要件

・上記の必須要件のうち、Bについては付加価値額の年率平均4%以上増加

・取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年で市場規模が10%以上拡大する業種・業態(事務局が指定)に属している

・事業終了後3~5年の計画期間中に給与支給総額を年率平均2%以上増加

第9回公募まで必須要件とされていた売上高減少要件は撤廃

補助上限額・補助率

従業員規模補助上限額補助率
20人以下2,000万円中小企業1/2、中堅企業1/3
21~50人4,000万円
51~100人5,000万円
101人以上7,000万円

グリーン成長枠の拡充

脱炭素に関わるグリーン分野での高い成長を目指す事業者を支援するグリーン成長枠で、要件を緩和した類型(エントリー)が創設されました。

対象となる事業者の要件

エントリースタンダード
必須要件のうち、Bについては付加価値額の年率平均4%以上増加必須要件のうち、Bについては付加価値額の年率平均5%以上増加
グリーン成長戦略に紐づく取組みに関する1年以上の研究開発・技術開発または従業員の5%以上に対する年間20時間以上の人材育成グリーン成長戦略に紐づく取組みに関する2年以上の研究開発・技術開発または従業員の10%以上に対する年間20時間以上の人材育成
事業終了後3~5年の計画期間中に給与支給総額を年率平均2%以上増加事業終了後3~5年の計画期間中に給与支給総額を年率平均2%以上増加

補助上限額・補助率

【エントリー】

 従業員規模補助上限額補助率
中小企業20人以下4,000万円中小企業1/2、中堅企業1/3
21~50人6,000万円
51人8,000万円
中堅企業1億円

【スタンダード】

 従業員規模補助上限額補助率
中小企業1億円中小企業1/2、中堅企業1/3
中堅企業1.5億円

成長枠・グリーン成長枠へのインセンティブの付与

成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者が、賃上げや規模拡大を図る場合、補助上限額の上乗せ等のインセンティブが付与されます。

規模拡大する事業者への補助上限額引上げ(卒業促進枠)

・補助事業終了後3~5年で中小企業や中堅企業等を卒業する場合、補助上限額を2倍に引き上げ

大規模賃上げを行う事業者への補助上限額上乗せ(大規模賃金引上促進枠)

・補助事業終了後3~5年の計画期間中に

事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げ

従業員数を年平均1.5%以上増員

の要件をいずれも満たす場合、補助上限額を3,000万円上乗せ

※補助対象経費は、成長枠・グリーン成長枠で申請する経費と分けること

※補助事業終了後の実績報告で要件達成を確認後、補助金が支払われます

補助事業実施期間中の賃上げ要件達成事業者への補助率引上げ

・補助事業の実施期間内に

給与支給総額を年平均6%増加

事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げ

の要件をいずれも満たす場合、

補助率を3分の2(中堅企業は2分の1)に引上げ

※補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均2%以上増加できなかった場合、差額分(補助率6分の1分)を返還する必要があります。

成長枠・グリーン成長枠・サプライチェーン強靭化枠の加点措置

・成長枠・グリーン成長枠・サプライチェーン強靭化枠に申請する事業者が、補助事業終了後3~5年の計画期間中に給与支給総額を年平均3~5%以上増加させる大幅な賃上げを実施する場合、賃上げ幅に応じて加点されます。

産業構造転換枠の創設

市場規模の縮小により事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者を重点的に支援する「産業構造転換枠」が創設されました。

対象となる事業者の要件

・以下のいずれかを満たすこと

①過去~今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上縮小する業種・業態(事務局が指定)に属していること

②地域における基幹大企業が撤退し市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域(事務局で指定)に所在し、基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること

・必須要件のうち、Bについては付加価値額の年率平均3%以上増加

補助上限額・補助率

・補助率が3分の2(中堅企業は2分の1に引き上げ

・廃業を伴う場合には、廃業費が最大2,000万円上乗せ

物価高騰対策・回復再生応援枠

コロナ禍や物価高騰・原油高により依然として業況が厳しい事業者に対する支援が継続されます。

対象となる事業者の要件

・以下のいずれかを満たすこと

2022年1月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の売上高合計が、2019~2021年の同じ3か月の売上高合計と比較して10%以上減少

②中小企業活性化協議会等から再生計画策定などの支援を受けている

・必須要件のうち、Bについては付加価値額の年率平均3%以上増加

補助上限額・補助率

従業員規模補助上限額補助率
5人以下1,000万円中小企業3分の2(一部4分の3)、中堅企業2分の1(一部3分の2)
6~20人1,500万円
21~50人2,000万円
51人以上3,000万円

まとめ

以上、今年のおもな変更点をご案内しました。
事業再構築補助金は、計画する新規事業(新商品)や経費の内容が申請要件に合致しているかどうか、入念な確認が必要になります。申請をご検討の際には是非お問い合わせください。
事業再構築補助金については以下のページにまとめていますので合わせてご確認ください。

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