東京都独自の施策で、大規模な設備投資向けの助成金である「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 (以下、躍進的助成金)」をご存じでしょうか?
今回は躍進的助成金の概要や面接対策、お薦めの事業区分についてご紹介します。
既に第6回募集のスケジュールが公開されていますので、大規模な設備投資を計画中の事業者様は、ぜひご検討ください。
躍進的助成金の概要
躍進的助成金は先端技術を活用して、更なる発展を目指す中小企業に対し、機械設備等を購入する資金の一部を助成する、東京都の支援制度です。詳細は下記を参照ください。
対象事業
対象事業は、下記いずれかの事業区分に該当する必要があります。
事業区分 | 目的 | 具体例 |
Ⅰ 競争力・ゼロエミッション強化/賃上げ促進 | 競争力強化や事業の省エネ(ゼロエミッション)の実現 | 量産体制・安定供給体制の確立 - 多品種少量生産への対応 - 生産工程の改善 など |
Ⅱ DX推進 | IoTやAI、ロボット等のデジタル技術を活用した、新しい製品・サービスの開発 | 機械制御の自動化・省力化 - 物流の効率化・受発注の効率化 - 生産ラインの最適化 など |
Ⅲ イノベーション | 都が指定する9分野(防災・災害対策など)における新たな事業活動 | 新製品の生産・新サービスの提供- 新たな生産方式や販売方式の導入 - 新たな提供方式の導入 など |
Ⅳ 後継者チャレンジ | 事業承継を契機として後継者が行う、事業多角化や新たな経営課題への取組み | 事業転換に向けた新製品の生産 - 新たな事業分野への参入 など |
助成率と助成金額
事業区分ごとの助成率と助成金額は、以下のとおりです。
事業区分 | 助成率 | 助成金額(※3) | ||||
ゼロエミ要件(※2) | 賃上げ要件 | 上限額 | 下限額 | |||
Ⅰ 競争力・ゼロエミッション強化/賃上げ促進 | 中小企業者 | × | 2分の1以内 | 1億円 | 100万円 | |
○ | 3分の2以内 | |||||
◎ | 4分の3以内 | |||||
○ | ||||||
小規模企業者(※1) | × | 3分の2以内 | 3千万円 | |||
○ | 1億円 | |||||
◎ | 4分の3以内 | |||||
○ | ||||||
Ⅱ DX推進 | 3分の2以内 | |||||
Ⅲ イノベーション | ||||||
Ⅳ 後継者チャレンジ |
※1 常用の従業員数(役員を除く)が下記に該当する事業者
製造業・その他:20人以下
卸売業・小売業・サービス業:5人以下
※2 省エネ効果の高さに応じ助成率を引上がる
※3 1基あたり税抜50万円以上の機械装置・器具備品・ソフトウェアの購入経費が対象
申請資格
以下の要件をすべて満たす必要があります。
・都内に登記簿上の本店または支店があること
(注) 機械設備等を都外に設置する場合は、都内に本店があること
・都内で2年以上事業を行っていること 等
機械設備の設置場所
《東京都内の場合》
・東京都内に登記簿上の本店または支店があること
・工場設置認可や認定を受けていること
《東京都以外の場合》
・東京都内に登記簿上の本店があること
・設置場所が神奈川、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城、山梨の各県内に所在する工場等であること
・工場設置認可や認定を受けていること
スケジュール
申請受付 | 2023年10月30日~同年11月7日 |
1次審査(書類) | 2023年11月初旬~2024年3月上旬 |
2次審査(面接) | |
助成対象者決定 | 2024年3月中旬 |
助成事業実施 | 2024年4月1日~2025年9月30日(機械設備等の発注・納品・支払はこの期間に行います) |
注) 申請には事前に「GビズIDプライム」アカウントの取得が必要です。
アカウントの取得には約2週間程かかりますので、ご注意ください。
取得手続きの詳細は、下記サイトをご確認ください。
面接対策
躍進的助成金は、ものづくり補助金等と異なり、書類審査に加え面接もあることが大きな特徴です。
社外のコンサルタント等は、面接に同席できないため、申請者自身がしっかり準備して臨む必要があります。
面接における審査の項目
面接の審査項目は、以下のとおりです。
事業計画審査 | 目的との適合性 | 申請区分と計画内容が合致しているか |
優秀性 | 現状分析・課題・解決策が適切か | |
実現性 | 計画規模は妥当か | |
成長・発展性 | 設備導入後の効果は適切か | |
計画の妥当性 | 収支計画に具体性があるか | |
価格審査 | 機械設備等が一般的な市場価格に対して、著しく高額でないか |
審査方法と対策
面接審査はプレゼン5分間、質疑応答約20分間で構成されます。
プレゼンでは提出した事業計画書をもとに、各審査項目を意識しながら補足説明をします。時間は5分間と短いため、あらかじめ原稿を用意し、何度も声に出して練習することをお勧めします。
また質疑応答では、面接官の質問を理解した上で、回答する必要があるため、事前の対策として想定Q&A作成と模擬面接が有効です。
お薦めの事業区分
様々な事業区分がある中でお薦めは「競争力・ゼロエミッション強化」です。
その理由は下記のとおりです。
高い助成率と助成金額
「競争力・ゼロエミッション強化(ゼロエミ要件)」に採択された場合、助成金上限額1億円で、助成率は4分の3以内もしくは3分の2以内となります。これは事業区分の中で、最も好条件です
申請の手間が少ない
ゼロエミ要件に申請する際は「ゼロエミッション概要書」が必要です。
通常の申請書に2ページ程度の「ゼロエミエミッション概要書」を追加するだけです。
省エネのハードルは低い
ゼロエミ要件には、競争力を強化しつつ事業の省エネルギーを実現させる事業計画が求められます。下記の記載例のとおり、省エネの範囲は広いため、該当する事業者は意外と多いはずです。
例:設備導入による工程短縮で、残業や土日出勤を削減し、会社全体の水光熱割合を5%削減する
まとめ
当方では、躍進的助成金の申請書類作成だけでなく、面接対策を含めたトータルサポートを行っております。
ぜひご遠慮なくお問い合わせください。