インボイス制度の要点と2026年10月時点の特例・経過措置

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この記事は2023年8月、制度開始前に書いたものです。インボイス制度は2023年10月1日に始まったため、2026年10月9日時点で小規模な事業者が押さえておきたい点に絞って書き直しました。

細かい適用条件は、国税庁の公式ページにたどり着ける形で案内します。実際に判断するときは、必ず公式ページの最新の内容をご覧ください。

インボイス制度は今どうなっているか

インボイス制度は、令和5年(2023年)10月1日にスタートしました(国税庁 インボイス制度について)。売手が買手に、適用税率や消費税額などを書いた請求書・領収書(インボイス)を渡し、その書類をもとに消費税を計算する仕組みです。

買手が仕入税額控除を受けるには、原則として、インボイス発行事業者から受け取ったインボイスを保存する必要があります。インボイスがない仕入れや経費は、原則として仕入税額控除ができません。

ただし、簡易課税制度や2割特例・3割特例を使う場合は、消費税の納付税額の計算にインボイスの入手や保存は必要ありません。所得税等の面では、これまでどおり領収書や請求書などの保存が必要です。

登録の基本

インボイスを交付できるのは、税務署に登録したインボイス発行事業者だけです。登録すると、課税事業者である取引相手から求められたときにインボイスを交付する義務が生じます(交付が免除される取引もあります)。交付したインボイスの写しも保存しなければなりません。

免税事業者が登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要になります。国税庁の案内では、原則として登録を受けた日から2年間は消費税の申告が必要で、登録をやめても同様です(国税庁 インボイス発行事業者登録申請手続)。

免税事業者は、登録希望日を記載して申請できます。登録希望日は申請書の提出日から15日以降の日です。申請はe-Taxや郵送で行います。

登録するかどうかで迷っている場合は、取引先がインボイスを必要としているかを先に確認するのが現実的です。国税庁の「インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート」も参考になります。

2割特例と3割特例

免税事業者がインボイス発行事業者になった場合に、納付税額を売上税額の2割にできる特例が2割特例です。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者など、使えない場合もあります。国税庁の資料では、対象は令和5年(2023年)10月1日から令和8年(2026年)9月30日までの日の属する各課税期間とされています(国税庁 適格請求書等保存方式の概要)。

令和8年(2026年)9月30日が属する課税期間が最後なので、これより後に始まる課税期間では2割特例を使えません。それ以前に始まった課税期間の申告で使えるかどうかは、国税庁のページで確認してください。

その後は、令和9年分・令和10年分の申告に限り、個人事業者のみ納付税額を売上税額の3割にできる3割特例があります(国税庁 令和8年度税制改正の特集)。法人は対象外です。適用できる条件は他にもありますので、国税庁のページで確認してください。

少額特例

一定規模以下の事業者が行う1万円未満の課税仕入れは、インボイスがなくても帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。これを少額特例と呼びます。

  • 対象の事業者は、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下です
  • 対象の期間は、令和5年(2023年)10月1日から令和11年(2029年)9月30日までに行う課税仕入れです
  • 1万円未満かどうかは、1商品ごとではなく、一回の取引の税込みの金額で判定します

出典は国税庁 適格請求書等保存方式の概要です。

免税事業者などからの仕入れの経過措置

インボイス発行事業者ではない相手からの仕入れは、原則として仕入税額控除ができません。ただし制度の開始後しばらくは、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります。

令和8年度の税制改正で期限が延びて、控除できる割合は次のとおりに見直されました(国税庁 令和8年度税制改正の特集)。

期間控除できる割合
令和5年(2023年)10月1日から3年間80%
令和8年(2026年)10月1日から2年間70%
令和10年(2028年)10月1日から2年間50%
令和12年(2030年)10月1日から1年間30%

令和13年(2031年)10月1日以降は、この経過措置による控除はできません。大口の取引がある事業者向けの上限など、細かい条件の変更もありますので、仕入れの多い事業者は国税庁のページで確認してください。

受け取ったインボイスで確認すること

取引先から請求書や領収書を受け取ったら、次の点を確認します。インボイスは請求書に限らず、所定の事項が書かれていれば、領収書や納品書でも構いません。

  • 交付を受ける側の氏名または名称
  • 売手の氏名または名称と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨を含みます)
  • 税率ごとに区分した対価の額と適用税率
  • 税率ごとの消費税額等

小売業、飲食店業、タクシー業などは、宛名を省略するなど記載を一部省いた簡易インボイスを交付できます。宛名がなくても、不備とは限りません。

登録番号は、国税庁 適格請求書発行事業者公表サイトで、取引の時点で有効かどうかを確認できます。取消しや失効がないかを調べておくと安心です。

記載事項は、国税庁の「インボイス記載事項チェックシート」でも確認できます。

詳しい条件を調べるときに

返還インボイス(値引きなどの扱い)や帳簿の記載、電子データの保存方法など、この記事で触れていない論点は、国税庁の特設サイトにあるインボイスQ&Aとコールセンターの案内で確認できます。

この記事を書いた2023年8月には、IT導入補助金や東京都の助成金の情報も載せていました。補助金の枠や締切は毎年変わるため、この記事からは外しました。

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