デジタル化設備の税制優遇は?経営力向上計画のC類型廃止後の使い方

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デジタル化設備を入れるときに「経営力向上計画」の税制優遇を使えるのか、という相談をいただきます。以前この記事では「デジタル化設備(C類型)」を紹介しました。ところがC類型は2025年4月1日をもって廃止されています。この記事では、いま同じ設備投資をするときにどの類型を検討するかに絞って整理します。細かい条件は中小企業庁の手引きに任せ、リンクでご案内します。

制度の数字は中小企業庁の中小企業経営強化税制のページと税制措置・金融支援活用の手引きにもとづいています。申請の前に最新版をご確認ください。

デジタル化設備のC類型は廃止になりました

経営力向上計画の認定を受け、税法上の要件も満たすと、設備投資に対する税制優遇(中小企業経営強化税制)を使えます。デジタル化設備(C類型)は、遠隔操作・可視化・自動制御に関する設備を対象にしていましたが、中小企業庁のページに「2025年4月1日をもって、本類型は廃止となりました」と明記されています。

いま使える類型は、中小企業庁のページによると次の4つです。

  • 生産性向上設備(A類型)
  • 収益力強化設備(B類型)
  • 経営資源集約化設備(D類型)
  • 経営規模拡大設備(E類型)

適用期限は、同ページで「2026年度末(2027年3月31日)まで」とされています。期限の延長や要件の見直しが入ることがあるため、設備を発注する前に最新の表記を確認してください。

経営力向上計画そのものと、B類型の詳しい解説は、経営力向上計画のB類型とは?即時償却・税額控除の要点と手順にまとめました。この記事はデジタル化設備を入れる場面に絞った別の切り口です。

受けられる税制優遇は即時償却か税額控除

A類型・B類型・D類型では、優遇の内容は共通です(E類型は建物と附属設備の扱いが別です)。認定を受けた経営力向上計画に基づいて対象設備を取得し、事業の用に供した事業年度に、次のどちらかを選びます。

  • 即時償却:取得価額を一括で償却できます。
  • 税額控除:取得価額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)を税額から控除します。

税額控除には上限があります。中小企業投資促進税制と合わせて、その事業年度の法人税額の20%が上限です。超えた分は翌事業年度に繰り越せます(個人事業主は所得税)。対象は、中小企業等経営強化法の「特定事業者等」に該当する、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人や、常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主(青色申告書を提出していること)などです。詳しい対象者は手引きで確認してください。

デジタル投資はどの類型で考えるか

旧C類型は、デジタル化設備に絞った専用の類型でした。いまは専用の類型が無いので、設備の性格に合わせて、次の3つを検討します。

A類型:生産性向上設備(工業会の証明書)

設備メーカーを通じて工業会等に証明書を申請する類型です。単位時間当たり生産量・歩留まり率・投入コスト削減率のいずれかが旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備が対象です。ソフトウェアについては、この向上の指標に代えて、設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するものに限られ、販売開始から5年以内のものが対象です。IoTや生産管理系のソフトを入れる場合は、まずメーカーに証明書が取れるかを聞いてください。

B類型:収益力強化設備(経済産業局の確認書)

年平均の投資利益率が7%以上と見込まれる投資計画が対象です。ラインや業務全体を組み替えるような、設備とソフトを組み合わせた投資に向きます。詳しくはB類型の記事をご覧ください。

D類型:経営資源集約化設備(経済産業局の確認書)

経営力向上計画に事業承継等事前調査の記載があり、計画に従って事業承継等を行った後に設備を取得する場合の類型です。修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定以上改善する見込みを、投資計画で示します。たとえば計画期間が3年なら、有形固定資産回転率が+2%、または修正ROAが+0.3%ポイント改善する見込みを、投資計画で示す必要があります。D類型は事業承継等が前提なので、通常のデジタル投資には向きません。

A類型・B類型・D類型で共通の最低価額は、機械装置は160万円以上、工具と器具備品は40万円以上、建物附属設備は60万円以上、ソフトウェアは70万円以上です。A類型の工具は測定工具と検査工具に限られ、E類型は別の基準です。以前の記事に書いた工具・器具備品の最低価額は、現在の手引きの額に変わっています。

B類型・D類型の申請の流れと時期

B類型とD類型は、次の順で進めます。

  • 投資計画を作り、税理士又は公認会計士に事前確認してもらう
  • 本社所在地を管轄する経済産業局に、事前確認書とあわせて確認申請書を提出・説明する(オンラインの説明も可能です)
  • 経済産業局が確認書を発行する(説明を受けてから概ね1ヶ月以内)
  • 確認を受けた設備を経営力向上計画に記載し、確認書と確認申請書の写しを添付して主務大臣に申請する
  • 認定を受けたあとに設備を取得し、確定申告で適用を受ける(認定後も、B類型は投資計画の実施状況報告、D類型は事業承継の報告などを決められた期間提出します)

確認書の日付は、計画の申請日以前である必要があります。確認書の取得には時間がかかるので、決算日と設備を入れたい時期から逆算して早めに動いてください。

設備を先に取得してしまった場合の例外もあります。設備を取得した日から60日以内に計画申請書が届き、取得した事業年度内に認定を受ければ対象になります。ただし、確認書や工業会等の証明書の申請は、設備の取得前に済ませる必要があります。また、D類型とE類型では、この例外を使えません。

旧C類型の事前確認は認定経営革新等支援機関が行う仕組みでした。B類型・D類型の事前確認は、税理士又は公認会計士が行います。確認書が必要な案件は、松嶋が所属するコンサルティング・ビジネス研究会経由で対応します。

固定資産税の軽減もあわせて検討する

設備によっては、先端設備等導入計画の認定を受けると、固定資産税の特例を使えます。経営力向上計画の税制とは別の制度で、要件が合えば並行して検討できます。

よくある質問

Q. 古い記事のC類型の手順で、今も申請できますか?

できません。C類型は2025年4月1日で廃止されたため、デジタル化設備という理由だけで確認書を取ることはできなくなっています。A類型かB類型で要件を満たせるかを確認してください。

Q. ソフトウェアだけの導入でも対象になりますか?

A類型では、設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するソフトウェアで、70万円以上のものが対象になりえます。対象になるかの入り口は、メーカーを通じて工業会等の証明書が取れるかどうかです。証明書があっても、税制の適用には認定計画に基づく取得など税法上の要件も必要です。

Q. 個人事業主でも使えますか?

常時使用する従業員数が1,000人以下で、青色申告書を提出している個人事業主は、対象者の範囲に入ります。ほかに事業の種類などの要件があるので、手引きで確認してください。税制の適用は所得税で受けます。

設備投資の相談

どの類型で進めるか、確認書や認定を取るまでの段取りをどう組むかは、設備や決算期によって変わります。計画づくりから整理したい方は、ENTHRIVERの経営支援サービスをご覧ください。

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