事業承継・引継ぎ補助金とは
本補助金は、事業承継にかかる経費の一部を補助することで中小企業の事業承継やM&Aを促進するための制度です。
「事業承継補助金」と「経営資源引継ぎ補助金」が1つになって誕生しました。
「2025年問題」に代表されるように、中小企業経営者の高齢化が進む一方後継者が決まっていないという企業がたくさん存在します。そうなると将来的に事業承継が進まず、廃業してしまう企業が続出することが見込まれており、社会問題となっています。
実際、多くの中小企業が事業承継に悩んでおり、約127万社の企業で後継者が決まっていないとも言われています。
事業承継の形態は以下の3つに分けることができます。
- 親族内承継
- 役員・従業員への承継
- 社外人材への承継(M&A)
最近では役員や従業員への承継、社外人材への承継のように親族以外への承継が増えていますが、せっかく後継者が見つかっても高額なコンサル料等がネックとなり、スムーズに事業承継が進まないこともあるようです。
その対策として事業承継や M&Aをきっかけとした経営革新等への挑戦や、M&A による経営資源の引継ぎ、あるいはそうしたチャレンジのための前向きな廃業を検討する中小企業者等を後押しすることが本補助金の目的です。
具体的には以下の3つの制度があり、併用も可能です。
(1) 経営革新事業
事業承継後に行う新たな価値を生み出す取組みの経費を補助
(2) 専門家活用事業
M&Aに伴う専門家の助言や仲介に関する手数料等を補助
(3) 廃業・再チャレンジ事業
事業承継によって再スタートを切るにあたり廃業等の経費を補助
対象者
以下の条件を満たす事業者で、経営者の交代やM&Aによる承継の後に新しい取組を行った方が対象となります。(その他詳細に条件が定められていますが、ここでは割愛します)
- 日本国内で事業を営む中小企業・小規模企業者等、個人事業主、特定非営利活動法人(以下、「中小企業者等」という)であること
- 2017年4月1日から補助事業完了日までに承継が行われていること
経営革新事業
経営革新事業は、事業承継や事業引継ぎを契機として、引き継いだ(または引き継ぐ予定である)経営資源を活用して経営革新等に取り組むことで生産性を向上させることを目的とするもので、大きく3つのタイプがあります。
(1) 創業支援型(経営を引き継いだ本人が創業した場合)
(2) 経営者交代型(親族内承継、従業員承継等で新たに経営者となる場合)
(3) M&A型(事業再編・事業統合等により、第三者が経営権を取得して引き継いだ場合)
引き継いだ(引き継ぐ予定である)経営資源を活用し、承継者が取り組みべき新たな事業活動は以下の通りです。
①デジタル化に資する事業
DXに資する革新的な製品・サービスの開発(例:AI、センター、デジタル技術などを活用した自動制御、プロセスの見える化などの機能を有する製品/サービス開発)もしくはデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善等(例:AIやロボットシステムの導入によるプロセス改善、オペレーションセンターの構築など)を行う事業計画を策定することが必要です。
②グリーン化に資する事業
温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発(例:省エネ・環境性能に優れた製品・サービスの開発、廃棄物削減に資する製品・サービスの開発等)、もしくは炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善(例:生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資、複数ラインの作業工程を集約・高効率化等)を行う事業計画を策定することが必要です。
③事業再構築に資する事業
新分野展開(例:リゾートホテルが新たにキャンプ施設運営事業に進出)、事業転換(例:医療用精密機器メーカーがパソコン用精密機器を製造する)、業種転換(例:衣料品小売業が運送業に進出)、業態転換(例:焼肉レストランが新たにEC事業を行う)のいずれかを行う事業計画を策定することが必要です。
補助金額と対象経費
経営革新事業の補助金額は原則600万円が上限です。
ただし、一定の賃上げを実施する場合は、上限が800万円に引き上げられます。
事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)では、ものづくり補助金など他の多くの補助金と異なり、人件費や店舗等借入費(つまり家賃)が対象経費となっているのが特徴的で、使い勝手が良いものとなっています。
対象 | 補助対象経費 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 | 廃業を伴う場合 |
全ての事業者 | 人件費、店舗等借入費、設備費、原材料費、産業財産権等関連費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場賃料費、外注費、委託費 <事業所の廃止、既存事業の廃業・集約を伴う場合> 廃業登記費/在庫処分費/解体費/原状回復費 | 原則1/2 条件を満たせば2/3(*) | 100万円 | 600万円 一定の賃上げ実施で800万円 | +150万円 |
(*)補助率2/3となる条件は小規模企業者、物価高の影響等により営業利益率が低下している事業者、赤字事業者、中小企業活性化協議会から支援を受けている再生中事業者であることです。なお、600万円を超える部分については、補助率が2/3となる事業者の場合であっても、1/2の補助率となります。
専門家活用事業
中小企業がM&Aに取り組む際、M&A特有のノウハウを持った専門家や専門機関などの力を借りることが多くなります。その際、以下のような経費が生じ、企業の負担となります。
・売買の対象となる会社の資産価値を精査するため、専門家にかかる経費
・売り手と買い手をつなぐ仲介会社やマッチングサイトの成約料や手数料
専門家活用事業は、こうしたM&Aに伴って生じる専門家等への経費を補助するもので、以下の2つがあります。
Ⅰ型:買い手支援型(経営を譲り受ける中小企業等が対象)
・事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受ける予定の中小事業者
・事業再編・事業統合によるシナジーを活かした経営革新等を行うこと。また、地域雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うこと。
Ⅱ型:売り手支援型(経営を譲り渡す中小企業等が対象)
・事業再編・事業統合に伴い自社の持つ経営資源を譲り渡す予定の中小事業者
・地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行っていること。また、事業再編・事業統合により第三者により継続されること。
注意事項
不動産売買のみの事業再編・統合は、事業承継・引継ぎ補助金の対象外となります。
また、場合によってはM&A支援機関登録制度に登録された専門家でないと補助対象経費とすることができないことがあります。そのため、依頼予定先が登録専門家かを確認しておく必要があります。
補助金額と対象経費
専門家活用区分では、補助上限は600万円ですが、補助事業期間内に経営資源の引継ぎが実現しなかった場合は、補助上限額が300万円以内に変更されます。
類型 | 対象となる経費 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 | 廃業を伴う場合 |
買い手支援型 | 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料 <事業所の廃止、既存事業の廃業・集約を伴う場合> 廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用 | 2/3以内 | 50万円 | 600万円以内 | +150万円 |
売り手支援型 | 原則1/2以内 物価高等の影響により、営業利益率が低下している者・赤字の事業者は2/3以内 |
廃業・再チャレンジ事業
廃業・再チャレンジを行う中小企業者等に対する支援になり、以下を伴う廃業を対象に補助を受けられます。
(1)事業承継またはM&Aで事業を譲り受けた後の廃業
事業承継(事業再生を伴うものを含む)によって事業を譲り受けた中小企業者等が、新たな取り組みを実施するにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合。
※経営革新事業との併用が前提です。
(2)M&Aで事業を譲り受けた際の廃業
M&Aによって事業を譲り受ける中小企業者等(他者の経営資源を引き継いで創業した者も対象)が、事業を譲り受けるにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合。
※専門家活用事業との併用との併用が前提です。
(3)M&Aで事業を譲り渡した際の廃業
M&Aによって事業を譲り渡す中小企業者等が、M&A後も手元に残った事業を廃業する場合。
※専門家活用事業との併用との併用が前提です。
(4)M&Aで事業を譲り渡せなかった廃業・再チャレンジ
M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主、または個人事業主が、地域の新たな需要の創造または雇用の創出にも資する新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する場合。
補助金額と対象経費
経営革新事業、専門家活用事業と併用申請する場合は、補助率は各事業における事業費の補助率に従う形となります。
対象 | 補助対象経費 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 |
全ての事業者 | 廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用 | 2/3 | 50万円 | 150万円 |
事業承継・引継ぎ補助金ホームページ
以下のページが事業承継・引継ぎ補助金公式ホームページとなります。最新の公募要領などはこちらからご確認ください。
事業承継・引継ぎ補助金申請支援サービス
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