現在、中小企業新事業進出促進補助金(以下、新事業進出補助金)第3回公募がスタートしています。
本補助金は、かつて多くの企業が活用した事業再構築補助金の流れを汲む制度として創設され、既存事業とは異なる「新事業」への本格的な進出を支援する大型補助金です。
物価高騰・人手不足・人件費上昇という逆風の中でも、
- 新市場への参入
- 高付加価値化による収益改善
- 継続的な賃上げ
を実現する企業を、設備投資面から後押しする制度設計となっています。
本記事では、第3回公募の基本情報に加え、公募要領から読み解いた「採択を勝ち取るための実践ポイント」を、コンサルタント視点で徹底解説します。
新事業進出補助金とは何か?
本補助金は、中小企業が「新市場進出」または「高付加価値化」を目的として取り組む新事業に対し、設備投資等を支援する制度です。
単なる設備更新ではなく、事業構造そのものの転換・拡張を伴う挑戦が前提となっています。
補助上限額と補助率
補助上限額は従業員規模により異なります。
| 従業員規模 | 通常上限額 | 大幅賃上げ特例後上限 |
|---|---|---|
| 20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21~50人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
| 51~100人 | 5,500万円 | 7,000万円 |
| 101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
- 補助下限額:750万円
- 補助率:2分の1
大幅賃上げ特例の要件
事業終了時点で以下を達成する必要があります。
- 事業場内最低賃金+50円
- 給与支給総額+6%
この要件は「努力目標」ではなく、未達成時は返還対象となり得るコミットメント条件です。
補助対象経費
本制度の特徴は、建物費が対象になる点です。
- 建物費(建設・改修)
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
補助事業期間
- 交付決定日から14か月以内
(ただし採択発表日から16か月以内)
大型投資を伴うため、資金繰り計画と工程管理が極めて重要です。
採択を勝ち取るための3つの戦略
① 「新事業」の定義を正確に理解する
本補助金で最も重要なのは、その取り組みが「新事業」として認定されるかどうかです。
製品等の新規性
以下は対象外になりやすい例です。
- 既存製品の増産
- サイズ違い
- 製造方法の変更のみ
求められるのは、
- 性能が定量的に向上している
- 技術的に異なる製品
- サービスモデルが根本的に異なる
といった質的な転換です。
市場の新規性
ここが最大の落とし穴です。
「新商品」でも、既存顧客に売るだけでは代替とみなされる可能性があります。
必要なのは、
- これまで取引していなかった業種
- 新たな属性・利用シーン
- 異なる流通チャネル
つまり、市場ポジションそのものを変える戦略です。
「専ら使用」の制約を甘く見ない
取得財産は原則、
「専ら補助事業(新事業)のみに使用する」
必要があります。
例えば、
「新規事業用設備を、空き時間に既存事業でも使う」
これは原則NGです。
違反すれば、目的外使用として補助金返還リスクが発生します。
実務上は、
- 専用ラインの設置
- 明確な管理区分
- 物理的分離
が必要になります。
賃上げは“収益モデル”とセットで設計せよ
近年の補助金制度では、賃上げ未達=返還リスクという設計が定着しています。
求められる水準:
- 地域最低賃金+30円以上
- 給与総額の年率平均増加
重要なのは、
「補助金をもらえるから賃上げ」ではなく
「賃上げしても利益が出るモデル」
を構築できるかどうか。
審査員はここを見ています。
審査員が評価する本質
審査で見られるのは、
- 新規性の説得力
- 実現可能性
- 数値計画の妥当性
- 経営者の覚悟
です。
単なる夢物語ではなく、
- SWOT分析による自社強みの再定義
- 競合優位性の明確化
- 5年間の精緻な収益シミュレーション
が求められます。
採択企業の共通点
これまでの大型補助金支援の現場から言えることは、採択企業には共通点があります。
経営戦略と完全に整合している
補助金のための事業ではなく、中期経営計画の延長線上にある新事業。
数字がリアル
売上根拠が市場調査データと一致している。
社内体制が整っている
責任者・実行スケジュールが明確。
今回の第3回公募で意識すべきこと
第3回は制度理解が進んでいる企業も増え、質の高い申請が増える可能性があります。
つまり、
- 書類の完成度
- 数値の整合性
- 競争優位の明確さ
がより厳しく見られます。
まとめ|勝負を分けるのは「本気度」と「設計力」
採択のポイントを整理します。
✔ 製品と市場の両方で新規性を示せるか
✔ 設備は専用化できるか
✔ 賃上げを吸収できる収益モデルか
締切は
令和8年3月26日(木)18:00
大型補助金ゆえに、
- 事業構想
- 資金計画
- 数値設計
- 書類構成
すべてに時間を要します。
新事業への挑戦を「絵に描いた餅」で終わらせないために、早期の準備を強くおすすめします。
当方では本サービスをはじめとした公的支援の利用についてもご相談を承っています。お気軽にご相談ください。
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