「検査工程を自動化して不良流出を減らしたい」「熟練者の勘に頼っている加工を、設備で再現したい」。下請けとして図面や仕様書どおりにつくる会社には、こうした課題があります。東京都の「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金」は、そうした受注型の中小企業が技術開発に使える助成金です。
この記事は、東京都中小企業団体中央会が公開している令和8年度(第2回)の公募要領と募集のご案内をもとにまとめています。2026年10月8日時点で、中央会の事業ページに載っている最新の募集は令和8年度第2回で、受付は終了しています。次の公募の発表を待つ間に、今回の内容を目安として読んでください。
申請の前には、必ず最新の公募要領で条件を確認してください。細かな例外や除外条件は、この記事では書ききれません。
令和8年度第2回の募集内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成の窓口 | 東京都中小企業団体中央会(東京都から交付される補助金を、中央会が助成金として交付) |
| 対象 | 東京都内の受注型中小企業者、中小企業団体、中小企業グループ |
| 助成限度額 | 小規模企業区分 1,000万円、一般区分 2,000万円 |
| 助成率 | 助成対象と認められる経費の3分の2以内 |
| 助成対象期間 | 令和8年10月1日から令和9年12月31日まで |
| 申請書類の郵送受付 | 令和8年6月1日から7月3日まで(当日消印有効) |
出典:令和8年度(第2回)公募要領、募集のご案内。
対象になる事業者
制度の中心は「受注型中小企業」です。公募要領では、次の3つをすべて満たす事業者と定めています。
- 主として発注者の仕様・規格に基づいて、製品・サービスを提供している
- 発注者の製品・サービスの一部を構成(提供)するものである
- 最終消費者に対して、自分の名前(法人名・個人名)で製品・サービスを提供していない
東京都内に登記簿上の本店があること(個人事業者は都内の税務署に開業届を出していること)、令和8年4月1日現在で引き続き2年以上事業を営んでいることも要件です。中小企業団体や、中小企業者で構成するグループで申請する場合の条件は、公募要領の「助成対象事業者」の項を確認してください。
自社ブランドの最終製品をつくる会社や、一般の消費者に直接サービスを売る会社は、そのままでは対象になりません。たとえば、メーカーの部品を加工する町工場や、取引先の業務を受託する会社が当てはまります。
申請区分と助成額
申請区分は、業種で2つ、規模で2つに分かれます。
業種の区分
- ものづくり区分:日本標準産業分類の「大分類E 製造業」に当たる事業者。公募要領の例は、薄型・小型化に対応するための切削加工の精度向上、生産ラインの見直しによる短納期化や低コスト化、生産管理システムの導入による不良品の低減
- 受託サービス区分:製造業以外の事業者(製造業の事業者は申請できません)。公募要領の例は、受発注を可視化するシステムの構築、サービス提供過程の見直しによる短納期化や低コスト化、外部の専門家の技術指導を受けたサービス提供能力の向上
規模の区分
- 小規模企業区分:中小企業基本法の小規模企業者。助成限度額は1,000万円
- 一般区分:上記以外の事業者。助成限度額は2,000万円
小規模企業者でも一般区分に申請できます。ただし、小規模企業区分で申請すると審査で優遇される場合があり、一般区分で申請した場合は優遇されません。助成率は、どちらも助成対象と認められる経費の3分の2以内です。
助成の対象になる取組・ならない取組
助成の対象になるのは、受注型中小企業が行う、自社の技術やサービスの高度化・高付加価値化に向けた技術開発等です。自社に技術的な課題があり、その解決につながる取組であることが条件になります。実施場所は、自社、または東京、神奈川、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城、山梨のいずれかにある自社工場です。
次のような取組は対象外とされています。
- 自社ブランドの最終製品や、最終消費者に直接提供するサービスに関する取組
- 自社に技術的な課題の解決要素がない事業
- 営利活動とみなされる原材料や商品の仕入れ
- 過去の「受注型中小製造業競争力強化支援事業助成金」「受注型中小企業競争力強化支援事業」「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金」に採択された事業者が、同一・類似の事業として申請する場合
対象外の事業はほかにもあります。公募要領の「助成対象事業とならないもの」の一覧で確認してください。
助成対象経費の区分
助成対象になる経費は、公募要領の「助成対象経費一覧」に載っている次の区分に限られます。一覧にない経費は対象になりません。
- 原材料・副資材費
- 機械装置・工具器具費(中古品は対象外)
- 委託・外注加工費
- 産業財産権出願・導入費
- 技術指導受入れ費
- 展示会出展・広告費
- 直接人件費(自社でのソフトウェア開発に直接従事する常勤役員・正社員の人件費)
契約、取得、支払いは、助成対象期間内(第I期か第II期のどちらかの期間内)に終える必要があります。支払いは金融機関などからの振込払いが原則で、現金やクレジットカードでの支払いは対象外です。
審査の内容とスケジュール
提出した書類で書類審査(技術審査と経営審査)を行い、通過した申請者に面接審査を行います。審査項目は次のとおりです。
- 技術審査:事業目的との適合性、技術・サービスの優位性、計画の妥当性、目標の実現性、市場性・改善効果
- 経営審査:組織力、販売力、財務の健全性
面接審査には申請企業の方が出席します。コンサルタントなど外部の方は入室できません。
公募要領のスケジュールでは、6月1日から7月3日に申請書類を出し、書類審査、9月中旬の面接審査を経て、10月1日(予定)に交付決定となっています。日程は状況によって変わる場合があると、公募要領に書かれています。
申請で見落としやすい点
- 申請書類は郵送のみです。記録が残る簡易書留などで送ります。持参、普通郵便、宅配便、FAX、電子メールでは受け付けてもらえません。
- 令和9年3月31日を超える事業計画では、助成対象期間を「期」に分ける必要があります。第I期は令和8年10月1日から令和9年3月31日まで、第II期は令和9年4月1日から12月31日までで、期ごとに目標、事業計画、資金計画を作ります。
- 助成対象期間内に事業が完了しないと、助成金は交付されません。
- 単価や1取引が50万円以上(税抜)の経費は、2社以上の見積書が必要です。
- 交付決定額は助成金の上限です。事業完了後の検査で、金額が減る場合があります。
- 申請書類を受け付けた後は、加筆や修正ができません。
細かな条件は年度で変わります。申請する回の公募要領を、最後まで読んでください。
よくある質問
Q. 製造業でなくても申請できますか?
A. 申請できます。製造業以外の事業者は、受託サービス区分で申請します。受発注の可視化や、サービス提供の短納期化・低コスト化のような取組が例に挙がっています。
Q. 自社ブランドの製品を開発する場合は対象になりますか?
A. 自社ブランドの最終製品や、最終消費者に直接提供するサービスに関する取組は対象外です。受注型であることが前提になります。
Q. 次の募集はいつですか?
A. 2026年10月8日時点で、中央会の事業ページに載っている募集は令和8年度のものだけです。次の公募の発表は、このページで確認してください。
申請の相談
受注型の要件に当てはまるか、どの取組を計画の中心にするかは、公募が始まる前から整理しておけます。補助金や助成金の申請の相談は補助金の申請支援で受け付けています。ほかの制度は補助金データベースで探せます。返信は通常2営業日以内で、面談はZoomで行います。
なお、申請書の作成を外部に任せても、面接審査には申請企業の方が出席します。
支援サービス

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