中小企業成長加速化補助金の3次公募は、2026年11月3日時点で申請を受け付けています。受付期間は2026年9月29日(火)から11月12日(木)15:00までです。当初は10月29日締切の予定でしたが、事務局が9月29日に11月12日へ変更しました(100億企業成長ポータルのお知らせ)。
この補助金は、売上高100億円を目指す中小企業が1億円以上の投資をするときに、補助率1/2、上限5億円で支援する制度です。この記事は2次公募の解説を書き直したもので、3次公募の公募要領と3次公募の概要資料に沿っています。1次・2次公募の経緯は最後の節にまとめました。
制度の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 5億円 |
| 補助率 | 1/2以内 |
| 対象者 | 売上高10億円以上100億円未満の中小企業者 |
| 投資額の要件 | 補助対象経費のうち1億円以上(税抜き) |
| 補助事業期間 | 交付決定日から24か月以内 |
| 申請方法 | 電子申請(Jグランツ)。GビズIDプライムが必要 |
対象者と主な要件
公募要領の補助事業の要件は、次の4つをすべて満たすことです。
- 投資額が1億円以上(税抜き)であること。投資額は、建物費、機械装置費、ソフトウェア費の補助対象経費のうち資産計上するものの合計で、外注費と専門家経費は含みません
- 申請時までに、自社の100億宣言が100億宣言ポータルサイトに公表されていること
- 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画をつくること(賃上げの実施期間は補助事業終了後3年間)
- 日本国内で補助事業を実施すること
このほか、中小企業等経営強化法の中小企業者であること、収益事業を行っていること、公募開始日時点で確定している直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことなどが求められます。生産能力が上がらない老朽設備の入れ替え(更新投資)は認められません。事業者の範囲の細かい条件は公募要領の「事業者の範囲」をご確認ください。
100億宣言は申請時に公表済みであること
宣言の公表には通常2〜3週間かかり、書類に不備があるとさらに延びると、ポータルが案内しています。事務局は10月9日のお知らせで、3次公募に応募するなら100億宣言の申請を10月26日(月)までに行うよう求めました。10月27日(火)以降に申請した場合は、締切までに公表が間に合わない可能性があるとしています(100億企業成長ポータルのお知らせ)。宣言の中身は100億宣言の解説記事にまとめています。
共同申請
複数の事業者での共同申請もできます。その場合、参加企業のなかに投資額5千万円以上の中小企業者が1者以上必要です。100億宣言と賃上げ要件は、原則として各社で満たします。
補助対象経費
- 建物費:事務所、生産施設、倉庫など、専ら補助事業に使う建物の建設、増築、改修、中古建物の取得(単価100万円以上、税抜き)
- 機械装置費:専ら補助事業に使う機械装置、工具・器具の購入、製作、借用(単価100万円以上、税抜き)
- ソフトウェア費:専用ソフトウェア、情報システムの購入、構築、借用、クラウドサービスの利用(単価100万円以上、税抜き)
- 外注費:建物、機械装置、ソフトウェアの取得に必要な加工、設計、検査などの外注
- 専門家経費:その取得のために依頼した専門家への支払い
外注費と専門家経費の補助対象経費の合計は、投資額(資産計上する建物費、機械装置費、ソフトウェア費の合計)未満でなければなりません。事業計画の作成に要する経費は、外注費にも専門家経費にも入りません。土地代も対象外です。パソコン、タブレット端末、スマートフォンの本体費用も対象外です。交付決定より前に契約(発注)した経費は、どんな事情があっても補助対象になりません。
賃上げ要件と返還のしくみ
返還のリスクがあるため、申請前に必ず数字を確認してください。
- 基準年度(補助事業が完了した日を含む事業年度)と比べて、3事業年度後(最終年度)の従業員1人当たり給与支給総額が、年平均で4.5%以上上がること。4.5%は、全国の直近5年間(2021年度から2025年度)の最低賃金の年平均上昇率です。事業年度が12か月に満たない場合などの年度の数え方には特則があるので、公募要領で確認してください
- 応募時に4.5%以上の目標を掲げ、交付決定までに従業員などへ表明します
- 目標に掲げる指標は、従業員の給与支給総額か1人当たり給与支給総額のどちらかを応募時に選びます。申請後は変えられません
- 給与支給総額を選んだ場合も、1人当たり給与支給総額の年平均上昇率4.5%以上が別に求められます
返還になるのは、主に次の場合です。
- 応募時に掲げた目標を達成できなかったとき(未達成率に応じて返還)。給与支給総額を目標に選び、その目標を達成しても、1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が4.5%を下回れば返還の対象です。両方の指標が未達の場合は、未達成率の大きい指標に応じて返還します
- 基準年度の給与支給総額(または1人当たり給与支給総額。目標に選んだ指標)が、応募時点の直近の事業年度を下回ったとき(全額返還)。給与支給総額を目標に選んだ場合は、1人当たり給与支給総額の下回りも全額返還の対象です
- 交付決定までに目標を従業員などへ表明しなかったとき(交付決定の取消と全額返還)
このうち賃上げ目標の未達成については、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合、返還を求めない扱いです。
審査では「足下の賃上げ」も見られます。応募時の直近決算期から基準年度までの1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が物価上昇率を上回る程度に届かない計画は、審査上大幅に不利になると公募要領に書かれています。足下の賃上げも、採択後から交付決定までに従業員へ表明することが必須で、補助事業期間中の実績はモニタリングの対象になります。
スケジュール
- 申請受付:2026年9月29日(火)〜11月12日(木)15:00
- 1次審査(書面)の結果通知:2027年1月中旬
- プレゼン審査:2027年2月15日(月)〜3月5日(金)(公募要領には「土日祝除く」の記載もあります。実施日は1次審査通過者へ個別に連絡されます)
- 採択結果の公表:2027年3月下旬以降
- 交付申請:採択決定日から2か月以内
日程は目安で、変更される場合があります。採択結果の公表日は、申請件数によって前後することがあります。最新の日程は100億企業成長ポータルでご確認ください。
今後の公募について
事務局の概要資料によると、令和7年度補正予算による公募は、この3次公募で終了する見込みです。次の公募の有無や時期は、現時点で公表されていません。今後の情報は100億企業成長ポータルで案内される予定です。
審査の流れとプレゼン審査
審査は2段階です。1次審査は提出書類による書面審査、2次審査は外部有識者によるプレゼンテーション審査です。2次審査では、経営者ご本人(代表権のある方)の出席と説明が必須です。
同席できる人には決まりがあります。経営者以外の役員や事業責任者は同席して補足できます。金融機関による確認書を出した場合は、その金融機関の担当者も同席できます。一方、外部のコンサルティング会社の関係者は、経営顧問の形でも同席が認められません。発覚すると不採択や交付決定の取消になることがあります。
審査項目は大きく3つで、経営力、波及効果、実現可能性です。経営力では、売上高成長率、付加価値増加率、売上高に対する投資比率、賃上げの計画が見られます。実現可能性には、ローカルベンチマークによる財務状況と、金融機関のコミットメントが入ります。
申請の流れと提出書類
- 100億宣言を申請し、ポータルに公表される
- GビズIDを取得する(取得に2週間程度かかる場合があります)
- 書類をそろえ、Jグランツで申請する(郵送、メールでの提出は受け付けられません)
- 1次審査(書面)とプレゼン審査を受ける
- 採択後、2か月以内に交付申請をする
- 交付決定後に契約、発注し、補助事業期間内に実施、支払いを終える
- 実績報告と確定検査を受ける。補助事業終了後は、事業化と賃上げの報告が続く(期間と回数は公募要領でご確認ください)
提出書類は次のとおりです。
- 投資計画書(様式1):40ページ以内、PDF
- 投資計画書別紙(様式2):Excel
- ローカルベンチマーク(様式3):Excel
- 決算書等:確定した3期分、PDF。3期分の確定決算がない場合、不足分は白紙のPDFを出します(貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費の明細。製造業は製造原価明細書も)。決算書がない個人は、所得税青色申告決算書(白色申告は収支内訳書)です
- 金融機関による確認書(様式4):該当者のみ
- リース取引に係る宣誓書、リース料軽減計算書:リース会社と共同申請する場合のみ
様式1と様式2、決算書の数字は食い違いがないようにそろえます。書類に不備があると、審査の対象になりません。受付期間が終わると、修正、差し替え、追加は受け付けられません。締切前に再提出したい場合は、公募締切の2営業日前の17時までに事務局へ問い合わせ、所定の手続をとります。
過去2回の公募から分かること
事務局の概要資料に、1次・2次公募の数字が載っています。
| 公募 | 申請数 | 採択数 | 採択倍率 |
|---|---|---|---|
| 1次公募 | 1270件 | 211件 | 約6.0倍 |
| 2次公募 | 872件 | 224件 | 約3.9倍 |
採択者と申請全体の平均値は、次のとおりです(3次公募の概要資料)。給与の2行は、その指標を目標に選んだ事業者だけの平均で、共同申請は構成事業者ごとに集計されています。
| 指標(平均値) | 2次 採択者 | 2次 申請全体 | 1次 採択者 | 1次 申請全体 |
|---|---|---|---|---|
| 全社売上高成長率(年平均) | 32.2% | 26.1% | 26.4% | 17.8% |
| 売上高投資比率 | 59.7% | 45.8% | 53.5% | 32.7% |
| 1人当たり給与支給総額の増加率(年平均) | 6.7% | 6.2% | 5.9% | 4.8% |
| 給与支給総額の増加率(年平均) | 18.8% | 14.4% | 17.0% | 9.3% |
給与の集計対象が1次は従業員と役員、2次は従業員のみのため、1次と2次を単純には比べられません。どの指標も採択者の平均のほうが高い水準です。ただし平均値は採択に必要な最低ラインではなく、計画全体が審査されます。また2次公募では、採択者の金融機関による確認書の提出率が224件中224件の100%でした。確認書は提出書類では「該当者のみ」ですが、実際には出す前提で準備するほうが安全です。
審査員の感想として、資料には次のような点が挙がっています。
- 社長自身の言葉で、さまざまな質問にぶれずに答えられているか
- 数字の根拠、実現する仕組み、人材確保の手段がそろっているか
- 補助金が取れなければ何もしない「補助金ありき」の計画になっていないか
- 国内市場だけで100億円に届くのは現実的でなく、輸出やM&Aなどの手を早く講じているか
1次公募から3次公募までの変更点
| 公募 | 申請受付 | 主な出来事 |
|---|---|---|
| 1次公募 | 2025年 | 締切時点の100億宣言の申請数は1517件(2025年6月9日)。申請と併せて100億宣言を申請すればよかった |
| 2次公募 | 2026年2月24日〜3月26日15:00 | 締切時点の100億宣言の申請数は3091件(2026年3月26日)。採択結果は2026年8月4日に公表、8月19日に追加採択を公表 |
| 3次公募 | 2026年9月29日〜11月12日15:00 | 受付中 |
2次公募の公募要領(1次公募対照版)で、1次から2次への変更を確認できます。主なものは次の3点です。
- 100億宣言:1次公募は申請と併せて宣言を申請すればよく、2次公募から申請時までにポータルへ公表されていることが必要になりました
- 賃上げの基準率:1次公募は補助事業実施場所の都道府県の最低賃金の年平均上昇率でした。2次公募から全国の最低賃金の年平均上昇率(4.5%)になりました
- 給与の対象:1次公募は従業員と役員が対象でした。2次公募からは従業員のみです
2次から3次では、審査の注記に「足下の賃上げ」の評価が明記され、投資額に数える経費が資産計上するものに限られる、といった記載が加わりました。細かい違いは、事務局が公開している「2次公募対照版」の公募要領で確認できます。
よくある質問
外部のコンサルタントはプレゼン審査に同席できますか。
できません。経営顧問の形でも認められていません。当方は事前の準備と練習で支援します。当日は経営者ご本人が話します。
100億宣言をまだ出していません。3次公募に間に合いますか。
宣言の公表には通常2〜3週間かかり、不備があるとさらに延びます。事務局は、3次公募に応募するなら宣言の申請を10月26日(月)までに行うよう案内しており、10月27日(火)以降に申請した場合は締切の11月12日までに公表が間に合わない可能性があるとしています。いまから申請して間に合うかは事務局の処理次第で、当方からは保証できません。早めに申請状況を確認してください。
3次公募を逃した場合、次はありますか。
令和7年度補正予算による公募は、3次公募で終了する見込みと事務局が示しています。次の公募については、現時点で公表された情報はありません。100億企業成長ポータルの案内をご確認ください。
賃上げ目標を達成できなかったらどうなりますか。
未達成率に応じて補助金の返還を求められます。基準年度の給与が応募時の直近事業年度を下回った場合は全額返還です。天災など事業者の責めに帰さない理由があれば、賃上げ目標の未達成については返還を求めない扱いです。
申請の相談
3次公募の締切は11月12日(木)15:00です。ENTHRIVERの松嶋が、次の範囲でご相談を受けます。
- 100億宣言の内容の整理
- 投資計画書の構成と、様式1、様式2、決算書の数字の整合の確認
- 賃上げ計画の設計と、返還リスクの確認
- プレゼン審査の想定質問づくりと練習
返信は通常2営業日以内、面談はZoomで行います。補助金の相談は補助金の申請支援のページ、制度を探すときは補助金データベースをご覧ください。
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