中小企業省力化投資補助金の一般型は、現場の工程に合わせて設計した設備やシステムの導入費を補助する制度です。2026年10月9日時点では第8回公募の受付中で、応募の締切は2026年10月16日17:00です。
この記事は、一般型に絞って、「オーダーメイド設備」の要件をどう満たすか、公募要領のどこを見て計画を組むかを整理します。カタログ注文型との違いや制度全体の流れは省力化投資補助金とは?カタログ注文型と一般型の違いにまとめたので、ここでは重なる説明を省きます。数字はすべて第8回公募要領と公式ホームページ(一般型トップ)で確認したものです。
一般型の公募状況(2026年10月9日時点)
公式のスケジュールページによると、直近の2回は次のとおりです。
| 公募回 | 申請受付開始 | 公募締切 | 採択発表 |
|---|---|---|---|
| 第7回 | 2026年7月1日 | 2026年7月31日17:00(締切済み) | 2026年11月中旬(予定) |
| 第8回 | 2026年9月18日 | 2026年10月16日17:00 | 2027年2月上旬(予定) |
一般型は公募回制で、公募は年3~4回の予定です。第9回のスケジュールは詳細が確定次第、公式ページで更新されます。日程の見通しは公式の発表を待つ形になるため、この記事では第9回の時期を推測しません。
- 同一の法人・事業者は、公募回ごとに1申請までで、同時に複数は申請できません。
- 応募申請中・交付申請中の事業者と、交付決定を受けて事務局からの補助金支払が完了していない事業者は、新たに申請できません。
- 2026年10月19日(月)10:00~18:00頃は、システムメンテナンスのため申請マイページが使えず、申請を含むすべての機能が止まります。
- 第8回公募では、令和8年熊本地震の被害を受けた熊本県内の事業者は、審査で配慮されます。
第8回の締切まであと1週間です。GビズIDプライムアカウントの取得には時間がかかる場合があるため、未取得の方は第8回に間に合わない可能性があります。その場合は、公式ページで次の公募回の発表を確認してください。
一般型の概要(第8回公募要領)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助対象者 | 中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人、要件を満たす歯科医業を営む医療法人 |
| 補助対象 | 個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築 |
| 補助上限額 | 最大1億円(従業員数101人以上で大幅賃上げ特例を適用する場合) |
| 補助率 | 中小企業は1/2、小規模企業者・小規模事業者と再生事業者は2/3 |
| 事業実施期間 | 交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月以内) |
| 対象経費 | 機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費 |
| 収益納付 | 求められません |
補助上限額
| 従業員数 | 補助上限額(大幅賃上げ特例の適用時) |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円(1,000万円) |
| 6~20人 | 1,500万円(2,000万円) |
| 21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
| 51~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
| 101人以上 | 8,000万円(1億円) |
特例の条件
カッコ内の上限額と、補助率の2/3への引き上げには、それぞれ特例の要件があります。第8回公募要領の記載は次のとおりです。なお、大幅賃上げ特例の上限引き上げは、最低賃金引き上げ特例の適用事業者、再生事業者、補助金額が通常の上限額に達しない場合、常勤従業員がいない場合には使えません。大幅賃上げ特例では、2つの要件の達成に向けた具体的かつ詳細な取り組みを事業計画書に記載する必要があります。最低賃金引き上げ特例の補助率の引き上げは、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者、常勤従業員がいない場合には使えません。
- 大幅賃上げ特例(補助上限額の引き上げ):事業計画期間終了時点で、1人当たり給与支給総額を年平均成長率+6.0%以上増加させる計画を立てて目標を達成すること。あわせて、事業計画期間中、事業場内最低賃金を事業実施都道府県の最低賃金+50円以上にすること。
- 最低賃金引き上げ特例(中小企業の補助率を2/3に引き上げ):2024年10月から2025年9月までの間で、その期間の地域別最低賃金以上かつ2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上あること。
大幅賃上げ特例は、目標のどちらか一方でも達成できないと、通常の上限額との差額の返還を求められます。上限額を大きくしたい場合も、達成できる水準かどうかを先に確認してください。
一般型の基本要件
基本要件は一般型の共通ルールです。1355の解説と重なる部分は短くまとめます。
- 労働生産性を年平均成長率で+4.0%以上増加させる
- 1人当たり給与支給総額を年平均成長率で+3.5%以上増加させる
- 事業場内最低賃金を、事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準にする
- 従業員が21名以上の場合は、交付申請時までに、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」で公表する
最低賃金引き上げ特例の適用事業者は、事業場内最低賃金の要件が外れます。基本要件は労働生産性、1人当たり給与支給総額、行動計画の3つになります。
1人当たり給与支給総額の要件を満たせない場合は、達成率に応じて補助金の返還を求められます。事業場内最低賃金の要件を満たせない場合も返還の対象で、再生事業者は基本要件未達の場合の返還が免除されます。返還が免除される例として、1人当たり給与支給総額の要件では、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体で事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合などが挙げられています。事業場内最低賃金の要件では、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体で当該事業年度が営業利益赤字の場合などです。どちらも、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は、返還を求められないことがあります。
オーダーメイド設備の要件
公募要領の定義
公募要領は、オーダーメイド設備を次のように定義しています。ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)です。
審査でも、個別の課題に対して作業工程や事業所の構造・レイアウト等に合わせて、機能、構造、性能等が一品一様で設計・開発された機械装置・システムの導入になっているかが見られます。審査項目はカタログ注文型より多いと、公募要領に明記されています。
汎用設備はどこまで認められるか
専用設計の設備に限られるわけではありません。公募要領には、汎用設備であっても次のどちらかに当たる場合は、オーダーメイド設備とみなして補助対象にすると書かれています。
- 事業者の導入環境に応じて、周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合
- 汎用設備を組み合わせて導入することで、より高い省力化効果や付加価値を生み出せる場合
一方で、オーダーメイド性のない汎用設備やパッケージソフトを単体で導入する事業は対象外です。複数を組み合わせて高い省力化効果を出す場合は対象になります。
対応パターンの整理
公募要領の記載を、申請の組み立て方に合わせて3つに分けると次のようになります。
| パターン | 公募要領上の扱い | 申請書で示すこと |
|---|---|---|
| 専用に設計したシステムを導入する | 定義にそのまま当てはまります | 現場の工程やレイアウトに合わせた設計であること、SIerとの連携の内容 |
| 汎用設備を組み合わせる、または導入環境に合わせて構成を変える | オーダーメイド設備とみなされます | 組み合わせや構成の変更で、単体導入より高い省力化効果が出る根拠 |
| オーダーメイド性のない汎用設備を単体で導入する | 対象外です | (一般型ではなく、カタログ注文型で申請できないかを先に確認) |
カタログに登録されているカテゴリの製品を一般型で導入する場合は、省力化効果が十分に見込める設備として審査で一部考慮されます。ただし、カタログの製品をそのまま導入する計画は対象になりません。周辺機器や機器の数、搭載機能が環境に応じて変わる場合や、複数の汎用設備の組み合わせで効果が高まる場合に限られます。カタログ注文型との選び方は1355にも書いています。
審査で見られる点と申請書の組み立て
書面審査の「技術面」では、次の4つが評価されます。
- 省力化指数が高いこと、算出根拠が妥当であること
- 投資回収期間が短いこと、算出根拠が妥当であること
- 付加価値額の年平均成長率が大きいこと、算出根拠が妥当であること
- オーダーメイド設備の導入計画であること
省力化指数は、設備の導入で削減される業務に要していた時間から導入後に発生する業務の時間を引き、削減される業務に要していた時間で割って求めます。工程ごとの作業時間を、導入前と導入後で並べて数える作業が土台になります。
「計画面」では、賃上げの実現可能性と、省力化で空いた時間や人手を高付加価値業務に振り向ける計画が見られます。審査では、補助事業完了後の賃上げ率だけでなく、完了を待たずに行う「足下の賃上げ」も評価されます。応募申請時の直近決算期から基準年度までの1人当たり給与支給総額の年平均成長率が、物価上昇率を上回る程度に届かない計画は、審査上大幅に不利になると公募要領は注意しています。足下の賃上げは、採択後から交付決定までの間に従業員へ表明する必要があります。
採択事例の見方
採択された事業者名、法人番号、事業計画名、支援機関名などは、公式ホームページで公表されます。事例を見るときは、まず公式の採択結果を確認してください。公募要領には、補助事業者になった場合に事例集の作成へ協力を求める旨もあるため、公式の事例集が今後出る可能性があります。
以前のこの記事には3社の採択事例を載せていましたが、現在の公式資料で出典を確認できなかったため外しました。代わりに、公募要領の考え方を当てはめた架空の例を2つ挙げます。実際の採択事例ではありません。
- 金属加工の工場で、市販の切断機と搬送装置を導入し、両者を連携させるソフトウェアをSIerに開発してもらう。主要機器は汎用品ですが、自社の工程に合わせた連携が省力化の中心なので、「汎用設備を組み合わせて高い省力化効果を出す」型に当てはまります。
- 食品工場で、市販の包装機を単体で買い替える。工程や導入環境に応じた変更がなければ、汎用設備の単体導入として対象外になります。カタログ注文型に該当する製品がないかを先に調べます。
補助対象経費と手続きの注意点
- 機械装置・システム構築費は必須で、単価50万円(税抜)以上の設備投資を含める必要があります。
- 機械装置・システム構築費以外の経費は、合計の補助上限額が500万円(税抜)です。
- 交付決定前に発生した経費は、いかなる理由でも補助対象になりません。見積りの取得と発注は分けて進めてください。
- 採択後の交付申請では、契約先または発注先1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の物件は、同一条件の相見積もりを取るのが原則です。
- 補助金の交付額を確定する際に、中小機構と事務局が現地調査を行います。設備や証憑類を確認できない場合、その設備の金額は補助対象になりません。
申請の流れ
公式の応募申請・交付申請の流れでは、次の9ステップが示されています。
- GビズIDを取得する(プライムアカウントが必要)
- 事業計画書を作成し、機械装置・システム等を選定する
- 応募申請をする(採択まで3か月程度かかります)
- 採択後に相見積もりを取り、事業者を選定する
- 交付申請をする
- 補助事業を実施する
- 実績報告をする
- 補助金が交付される
- 事業実施効果報告をする
第8回の採択発表は2027年2月上旬の予定です。補助事業の期間は交付決定日から17か月以内なので、設備の納期が長い場合は、スケジュールを逆算して計画を作ってください。
よくあるつまずき
- オーダーメイド性のない汎用設備を単体で買う計画で応募してしまう。対象外なので、カタログ注文型を先に検討します。
- 賃上げ目標が高すぎる。1人当たり給与支給総額の目標を達成できないと、達成率に応じて返還が発生します。
- 申請を業者に任せきりにする。事業計画は申請者自身が作成する決まりです。公募要領は、実際の作業にかかる費用とかけ離れた高額な成功報酬を請求する業者に注意するよう求めています。支援を受けた場合は、支援者名、報酬、契約期間を申請画面に記載します。
- 国の他の補助金と補助対象経費が重複する。重複する事業は対象外です。
Q&A
第8回に今から間に合いますか
締切は2026年10月16日17:00です。事業計画書の作成とGビズIDプライムアカウントが済んでいない場合は、日程が厳しくなります。10月19日のメンテナンスは締切の後ですが、手続きを予定している方は日程にご注意ください。間に合わない場合は、公式ページで次の公募回の案内を待ちます。
一般型とカタログ注文型を両方使えますか
公式のよくあるご質問では、同じ補助対象に対して併用することはできないが、別の補助対象に対してであれば可能とされています。
賃上げ目標を達成できなかったら必ず返還ですか
1人当たり給与支給総額の要件を満たさない場合は、原則として達成率に応じた返還を求められます。付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体で事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合などは、返還を求められません。天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合も同じです。詳しい条件は公募要領と公式のよくあるご質問で確認してください。
申請の相談
一般型は、オーダーメイド設備の考え方、省力化指数や投資回収期間の根拠、賃上げ計画の見立てで迷う方が多い制度です。事業計画は申請者自身が作成する決まりのため、松嶋は考え方の整理と書類の確認をお手伝いします。補助金の相談は補助金のご相談ページから、使える制度を探すときは補助金データベースをご利用ください。返信は通常2営業日以内で、面談はZoomで行います。
制度全体や類型の選び方は、あらためて省力化投資補助金とは?カタログ注文型と一般型の違いをご覧ください。
ここに書いた内容は、2026年10月9日時点の公式情報にもとづきます。公募回ごとに要件や金額が変わることがあるため、申請する回の公募要領で最終確認をお願いします。
支援サービス

チームを組んでサポートします。お気軽に以下のフォームから是非ご相談ください!
ご相談の前に、支援の内容と進め方と、担当する中小企業診断士のプロフィールをご覧いただけます。


