近年多くの現場で人手不足が顕在化し、省力化が重要課題となっています。
この人手不足を解消し、収益向上と賃上げに繋がる設備投資を促進させる補助金として「中小企業省力化投資補助金(以下、省力化補助金)」があります。
今回は、ポストものづくり補助金との呼び声も高い省力化補助金のうち、「一般型」について解説します。
中小企業を支える補助金の動向
中小・小規模事業者(以下、中小企業)向けの補助金は、2024年の事業再構築補助金を最後に「コロナ禍による経営破綻の防止」から「企業の成長を促し、賃上げを後押しする」方向に舵が切られました。
具体的には、
- より高い付加価値の向上を図る事業計画の策定
- 未達成の場合に補助金返還義務が生じる「賃上げ」の宣言
などが盛り込まれるようになりました。
また、令和7年度の経済産業省系の主な補助金は、従来からの
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(中小企業の革新的なものづくり・サービスを支援)
- 小規模事業者持続化補助金(小規模事業者の持続的成長を支援)
- IT導入補助金(中小企業のITツール・パッケージソフトの導入を支援)
- 事業承継・M&A補助金(事業承継およびM&Aを支援)
に加え、
- 中小企業省力化投資補助金(生産性の向上が目的)
- 中小企業成長加速化補助金(中堅企業への成長を後押し)
なども加わりました。
省力化補助金は、IT導入補助金のようにカタログから機械・設備を選択して申請する「カタログ注文型」と、企業独自の課題を解決するためオーダーメイド型の設備導入を支援する「一般型」に分かれています。
今回は、省力化補助金(一般型)について、オーダーメイド型設備の要件やそれを満たすためのポイント、採択事例についても解説します。
省力化補助金(一般型)の概要
当補助金の目的は、中小企業等によるデジタル技術などを駆使した専用設備(オーダーメイド型設備)の導入を補助することにより、付加価値額や生産性向上を図り、賃上げに繋げていくことです。
なお、「オーダーメイド型設備」とはデジタル技術等を活用した「専用設備」を指します(公募要領に記載)。そのため、汎用設備を単体で購入・導入するだけの事業計画は、原則として補助対象となりません。
補助上限額
| 従業員数 | 補助上限額 |
| 5人以下 | 750万円(1,000万円) |
| 6~20人 | 1,500万円(2,000万円) |
| 21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
| 51~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
| 101人以上 | 8,000万円(1億円) |
※カッコ内は特例適用時の上限
大幅賃上げに係る上限引き上げの特例
以下の要件1、2にすべて該当すること。
- 1人当たり給与支給総額を年平均成長率+6.0%以上増加させる事業計画を策定すること
- 事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を事業を実施する都道府県における最低賃金+50円以上の水準とすること
補助率
| 補助対象者 | 補助率 |
| 中小企業 | 1/2 (2/3) |
| 小規模事業者再生事業者 | 2/3 |
※カッコ内は特例適用時の補助率
最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例
以下の要件にすべて該当すること。
- 対象期間:2024年10月から2025年9月まで
- 賃金水準:2024年10月時点の最低賃金以上、2025年10月時点の最低賃金未満
- 上記の賃金水準で雇用した従業員の割合:30%以上である月が3か月以上
対象経費
補助金で支援する経費は、「機械装置・システム構築費」が必ず含まれている必要があります。
その他に、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費も補助対象となります。
省力化計画の基本的な考え方
補助金事務局が示す省力化計画の基本的な考え方は以下のとおりです。
参考:補助金ポータル


- 現在の経営環境や具体的な業務プロセスを十分に把握していることを記載する
- どの部分を設備投資で省力化できるか(=ボトルネック業務B)を明らかにし、そのために必要な設備を導入することを示す
- その設備は、事業者固有の課題(物理的な機器や人の配置、手順等を踏まえたもの)に対応する、専用の設備(標準的な複数の機器・システムを組み合わせる場合でも同様)であることを示す
- 限られた人材を最大限活かすために、省力化で捻出できるリソースをどこに振り向けると業績向上および賃上げに繋げられるかを示す(上図では、高付加価値業務A 、新D業務(高付加価値)に振り向ける)
- 現実的に実行可能な、実施体制やスケジュール・資金計画を示す
採択に向けたポイント
「オーダーメイド」要件に対応するためのポイントについて
汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて搭載する機能等が変わる場合や、汎用設備を組み合わせて導入することで、高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド型設備であるとみなされ、補助対象となります。
「オーダーメイド」要件への対応パターン
上記を勘案すると、「オーダーメイド」を満たしているかについては、以下のパターンに整理できます。
「完全な特注」システムにより省力化する場合
課題解決に直接対応するような特注仕様の生産システムを導入することで、オーダーメイドを満たします。
ただし、特注は「ユニットの改良レベル」でも認められますし、ソフトウェアは「独自設定パラメータを選択できるレベル」でも許容されます。
汎用設備を導入するが「設備間の連携等」により省力化する場合
主要な設備は「カタログ仕様」の汎用設備を導入するものの、それらを繋ぐ機械・ユニットがシステム全体として、申請企業固有の課題解決に繋がる役割を果たすものであればオーダーメイドとして許容される可能性が高いです。
さらには、機械の一部ユニットや部品に特注品が用いられていたり、ソフトウェアで独自の動作を可能とする設備もこの範疇に入ります。
採択される事例は、課題解決に寄与する効果が大きいこと、省力化の効果が大きいことが申請書に示されている案件です。
単に汎用設備を導入する場合
汎用設備を導入する場合、他の補助金では「機械装置費」として採択の対象となりますが、省力化補助金(一般型)では対象となりません。
これらの汎用設備導入の場合は、「カタログ型」での申請が可能か否かを検討することになります。
採択された事例について
採択事例および導入したオーダーメイド型設備の一部をご紹介します。
A社(クリーニング業)
クリーニング工程に関わるたたみ・包装工程に至る作業効率の低さがボトルネックとなっており、汎用的なアイロン設備・たたみ機械の導入に加え、独自のクリーニング品の流し方を可能とすることで大幅な生産性向上を実現しました。
「オーダーメイド」の要件については、工程を繋ぐ運搬設備に独自改良を加えたことで満たしています。
B社(製造業)
大型板金のプラズマ切断機を複数台導入した事例です。
「オーダーメイド」の要件については、ロール状の板金を機械に送り込む供給装置に切断機からのオン・オフ信号をトリガーに動作を開始するソフトウェアを追加したことで満たしています。
機械ごとにオペレーターが必要であった工程において、一人のオペレーターで複数の機械操作が可能となり、省力化効果を得ました。
C社(製造業)
切削加工機における加工品の装着にロボットを用いていた設備において、複数の機械間に「渡りユニット」と呼ぶコンベアを設けて工程の連携効率を高めた事例です。
「オーダーメイド」の要件については、センサー・コンベアによる動作の連携性を高めることで工程全体の生産性向上を実現したことで満たしています。
まとめ
令和7年度より開始した「省力化補助金(一般型)」の概要や申請書作成のポイントについて解説しました。本補助金は政府が推進する中小企業における生産性の向上や成長の後押しを通じた賃上げの実現という重要な施策を担うものであり、令和8年度も継続することが予定されています。
今回の解説は、令和7年に実施された同補助金の公開資料・公募要領等に基づくものであり、今後部分的な見直しが行われる可能性もあります。
実際に応募を検討する際には、ぜひごお気軽にご相談ください。
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