デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)とセキュリティ対策

dx 補助金・助成金
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会計ソフトや受発注システム、クラウドサービスを入れて、紙と手作業の仕事を減らしたい。そんな中小企業・小規模事業者が使える国の補助金が「デジタル化・AI導入補助金」です。

IT導入補助金は令和8年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました(中小機構 補助金活用ナビ)。この記事では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めたい事業者向けに、2026年の公募要領をもとに補助額・補助率・要件と、申請に欠かせない「SECURITY ACTION(セキュリティアクション)」を解説します。

※申請する際は、必ず事務局サイトで最新の公募要領を確認してください。

DXとIT化(デジタル化)の違い

DXと似た言葉に「IT化(デジタル化)」があります。一般に、IT化の主な目的は業務の効率化で、DXはそこに「業務やビジネスのやり方を変える」ことまで含みます。

たとえば、ノートと電卓で帳簿をつけていた会社が会計ソフトを入れて、経理が短時間で終わるようになれば「IT化」です。その会計データを顧客管理や原価管理にも使い、値付けや仕入れの判断を変えたなら「DX」と言えます。

進め方は、おおむね次の3段階です。

  • アナログの仕事をデジタルにする(紙の契約書とハンコをやめて電子契約にする)
  • 業務を効率化しながら、データをためる(紙の稟議書の回覧を電子承認に変える)
  • ためたデータを使って、事業や組織を変える(出荷データから出荷の手順を見直し、リードタイムを縮める)

人手不足に悩む事業者ほど、1段目と2段目の効果を実感しやすくなります。勤怠管理や請求書の作成をクラウドに移すだけでも、担当者が手で転記していた時間を減らせます。ソフトやクラウドの費用がかさむときに使えるのが、デジタル化・AI導入補助金です。

デジタル化・AI導入補助金の概要

ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用の一部を国が補助する制度です。公募要領は、ITツールを「ソフトウェア(AIを含む)・オプション・役務・ハードウェアの総称」と定めています(通常枠 公募要領 1-2)。

申請枠は次のとおりです(中小機構)。

申請枠使い方の例
通常枠業務管理・会計・労務管理ソフト、販売管理・在庫管理システムなどを入れて業務を効率化する
インボイス枠(インボイス対応類型)インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトや、PC・タブレット、レジを入れる
インボイス枠(電子取引類型)発注側が取引先にアカウントを無償で発行し、取引先のインボイス対応を促す
セキュリティ対策推進枠サイバーセキュリティお助け隊サービスを利用する
複数者連携デジタル化・AI導入枠商店街など複数の事業者が連携してITツールを導入する

対象者と主な申請要件

対象は中小企業・小規模事業者等です。業種ごとの資本金・従業員数の基準は公募要領で確認してください。通常枠の主な申請要件は次のとおりです(通常枠 公募要領 2-1-1)。

  • 日本国内で事業を営み、国内に補助事業の実施場所があること
  • GビズIDプライムを取得していること
  • SECURITY ACTIONの「一つ星」か「二つ星」を宣言していること(第2回公募以降は、2026年4月に運用が始まったSECURITY ACTION管理システムでの宣言が必要)
  • 1年後に労働生産性を3パーセント以上、事業計画期間の年平均でも3パーセント以上向上させる計画をつくること

補助金申請額が150万円以上になる場合は、賃上げの計画も必要です。交付申請時点の翌事業年度以降3年間で、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3パーセント以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする計画を立て、交付申請の時点で従業員に表明します。保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業を行う事業者、学校などは、この賃上げ要件の適用外です(通常枠 公募要領 2-1-1(ニ))。

過去にIT導入補助金を使った事業者は、要件が上乗せされます。

  • IT導入補助金2023の通常枠(A・B類型)など、2024・2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者:労働生産性の目標が1年後4パーセント以上、年平均4パーセント以上になります
  • IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者:1人当たり給与支給総額の年平均成長率の目標が3.5パーセント以上になり、150万円未満の申請でも賃上げ計画と従業員への表明が必要です(上記の適用外の事業者を除く)

該当する場合は、公募要領の2-1-1を必ず読んでください。

補助額・補助率

通常枠

補助額プロセス数補助率
5万円~150万円未満1プロセス以上1/2以内
150万円~450万円以下4プロセス以上1/2以内

令和6年10月から令和7年9月までの間で、「その期間の地域別最低賃金以上~令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある事業者は、補助率が2/3以内になります(通常枠 公募要領 2-3)。対象はソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、導入関連費です。

インボイス枠(インボイス対応類型)

対象補助額補助率
ITツール(会計・受発注・決済のうち1機能)~50万円3/4以内(小規模事業者は4/5以内)
ITツール(2機能以上)~350万円補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分は2/3以内
PC・タブレット等~10万円1/2以内
レジ・券売機~20万円1/2以内

インボイス枠はハードウェアも対象になるのが特徴です(インボイス枠 公募要領)。

セキュリティ対策推進枠

IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に載っているサービスの利用料(最大2年分)が対象です。補助額は5万円~150万円、補助率は中小企業1/2以内、小規模事業者2/3以内です(セキュリティ対策推進枠 公募要領)。

セキュリティ対策の補助金は、東京都の助成金も含めてサイバー攻撃からビジネスを守るための補助金・助成金活用で詳しく解説しています。

スケジュール

締切は複数回あります。通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の6次締切分(複数者連携デジタル化・AI導入枠では3次締切分)の日程は次のとおりです(事業スケジュール)。

項目日程
締切日2026年10月30日(金)17:00
交付決定日2026年12月10日(木)(予定)
事業実施期間・事業実績報告期限交付決定~2027年5月31日(月)17:00(予定)

インボイス枠(インボイス対応類型)は、7次締切が2026年12月1日(火)17:00と公表されています(スマートレジ導入支援)。ほかの回は、事務局が確定したものから順に公表します。

申請の流れ

この補助金は、事業者が1社で申請するものではありません。事務局に登録された「IT導入支援事業者」(ITベンダーなど)と共同事業体になって申請します(通常枠 公募要領 1-2)。

  • IT導入支援事業者に相談し、導入するITツールを決める(ソフトウェアなどは事務局に登録されたITツールが補助の対象です)
  • GビズIDプライムを取得する(審査に日数がかかることがあるので早めに)
  • SECURITY ACTIONを宣言する
  • IT導入支援事業者と一緒に事業計画をつくり、交付申請する
  • 交付決定を受けてから、ITツールを契約・導入する
  • 事業実績報告をして補助金を受け取る(その後、効果報告もあります)

GビズIDの取り方は「GビズID」の概要および取得方法で解説しています。

SECURITY ACTION(セキュリティアクション)の宣言

SECURITY ACTIONは、中小企業・小規模事業者が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する、IPA(情報処理推進機構)の制度です(IPA SECURITY ACTION)。デジタル化・AI導入補助金では「一つ星」か「二つ星」の宣言が申請要件で、交付申請のときに宣言済みのアカウントIDを入力します。

一つ星

「情報セキュリティ6か条」に取り組むことを宣言します。対策を実施する前でも申し込めます(IPA「一つ星」を宣言する)。

  • OSやソフトウェアは常に最新の状態にしよう!
  • ウイルス対策ソフトを導入しよう!
  • パスワードを強化しよう!
  • 共有設定を見直そう!
  • バックアップを取ろう!
  • 脅威や攻撃の手口を知ろう!

二つ星

「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」を実施し、「情報セキュリティ基本方針」を定めて外部に公開したうえで宣言します(IPA「二つ星」を宣言する)。基本方針はIPAのサンプルを自社に合わせて書き換えれば作れます。

2026年4月1日から、申し込みは「SECURITY ACTION管理システム」に変わりました。利用にはGビズIDプライムかメンバーのアカウントが必要です。GビズIDを先に取っておくと、宣言までの手続きが一続きで進みます。

注意点・よくあるつまずき

交付決定の前に契約・購入しない

通常の申請では、交付決定前に契約、発注、納品、支払い等を行った場合は、補助金を受けられません(通常枠 公募要領)。ベンダーから「先に契約を」と言われても、交付決定を待ちます。なお、スマートレジの導入やPOSレジの改修等については、2026年9月15日以降の事前着手を認める制度が発表されています(申請受付は2027年1月頃の予定。事務局のお知らせ)。

使いたいソフトが登録されているか先に確かめる

ソフトウェアやサービスは、IT導入支援事業者が事務局に登録したITツールが補助の対象です(インボイス枠のPC・タブレット等のように登録が不要なものもあります)。気に入ったソフトがあっても、登録がなければこの補助金では買えません。事務局サイトの「ITツール検索」で確認できます。

賃上げの計画は従業員への表明までがセット

通常枠では、150万円以上の申請や、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者の申請で、賃金引上げ計画を交付申請の時点で従業員に表明していることが要件です(賃上げ要件の適用外の事業者を除く。ほかの枠の要件は各枠の公募要領で確認してください)。計画書を書くだけでは足りません。

IT導入補助金からの主な変更

この記事の初版(2023年)では、IT導入補助金の「デジタル化基盤導入枠」と、ものづくり補助金の「デジタル枠」を紹介していました。その後の主な変化は次のとおりです。

  • 令和8年度から、名称が「デジタル化・AI導入補助金」になりました
  • 2026年の主な変更点として、賃上げに関する要件の変更、過去に交付決定を受けた事業者の賃上げ要件化、スマートレジ導入の支援強化が挙げられています(中小機構)
  • SECURITY ACTIONの一つ星は、バックアップを加えた「6か条」になりました
  • ものづくり補助金は令和8年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として公募されています

設備を伴うデジタル化で税制優遇を受けたい場合は、経営力向上計画も選択肢になります。経営力向上計画の解説をご覧ください。

よくある質問

Q. IT導入補助金とデジタル化・AI導入補助金は別の制度ですか?

A. 同じ制度です。IT導入補助金が令和8年度から名称を変えて続いています。

Q. パソコンだけ買いたい場合も使えますか?

A. 通常枠ではハードウェアは対象外です。インボイス枠(インボイス対応類型)なら、インボイス対応のITツールとあわせてPC・タブレット等を導入する場合に、~10万円の範囲で補助を受けられます。

Q. SECURITY ACTIONは一つ星と二つ星のどちらを宣言すればよいですか?

A. 申請要件としてはどちらでも構いません。すぐ申請したいなら、対策の実施前でも申し込める一つ星から始められます。

申請の相談

デジタル化・AI導入補助金は、IT導入支援事業者と組んで申請する制度です。どのツールを入れれば業務が変わるか、ベンダーに会う前に整理しておくと、見積もりの比較もしやすくなります。補助金の使い方は補助金の申請支援、AIを含む業務の見直しはAI活用支援からご相談ください。

ほかの補助金は補助金データベースで探せます。

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