令和4年度予算 中小企業・小規模事業者関係の概算要求のポイント

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経済産業省より、令和4年度予算の概算要求が公表されています。
この概算要求は経済産業省が公表するものの中で、最も注目度が高い資料の1つです。

この記事では経済産業省が発表した令和4年度予算の概算要求の内容、そして公募される見込みであろう補助金について見ていきます。

ここでは、経済産業省から公表された「令和4年度 中小企業・小規模事業者関係の概算要求等のポイント」を軸に、公募予定と想定される補助金についてお伝えしていきます。

概算要求とは

概算要求とは、日本政府の各省庁が財務省に対し、翌年度の政策を実行するために必要なおおまかな予算を要求することを指します。

歳入、歳出、継続費、繰越明許費、国庫債務負担行為の見積りからなり、財政法第17条に基づき、毎年8月末までに財務省へ提出することになっています。歳出額が野放図に膨らむのを抑制するため、財務省はあらかじめ概算要求額の上限となる概算要求基準を各省庁に提示し、これに沿って各省庁が概算要求を行います。ですので、いくらでも予算計上できるわけではありません。財務省は、各省庁から提出された概算要求に盛り込まれた政策や経費について、ひとつひとつ費用対効果を考慮しながら精査・削減したうえで、各省庁の予算を積み上げて翌年度政府予算案を作成します。

つまり、概算要求には各省庁が来年度に取り組む予定の施策に必要な経費がまとめられているということになります。ということは、経済産業省が出している概算要求を読み込むことで、来年度に向けて経済産業省が考える中小企業等の課題と支援内容を理解することができる、というわけです。

ただし、注意しなければいけないのは、あくまで概算要求の時点では「要求」でしかない、ということです。財務省が予算案を作成し、国会によって当初予算案が可決されて初めて確定します。現時点では、正式な実施は決まっておりませんので、ご注意ください。

概算要求はあくまで計画!予算案が作成されて、国会で可決されて初めて予算として確定します。国会での可決は現時点では12月下旬となる予定です。

令和4年度の国の予算案の概算要求は、過去最大の111兆円余り(4年連続で過去最大を更新)に膨らみました。高齢化に伴う社会保障費の増大に加え、国債の償還や利払いに充てる「国債費」の増加などが背景にあります。また、新型コロナ対策の事業では金額を示していない要求も多く、歳出がさらに膨らむ可能性もあります。

国の財政運営は厳しさを増しており、新規の国債の発行額は100兆円を突破している方で、昨年度は30兆円余りが使われないまま、今年度に繰り越されています。そのため、個人や法人に対してコロナに対する支援が十分に行き渡っていないのではないかという批判もあります。新型コロナウイルスの感染を踏まえ、予算をどう効率的に組み上げるのかがポイントとなっています。

概算要求のポイント

ポイント①令和3年度との違い

1年前の令和3年度予算の概算要求と比較すると、以下の違いあります。

・後ろ倒しになっている事業承継の促進に向けた制度の拡充
・中小企業等の再生関連の制度の拡充

コロナ禍で中小企業等の事業承継の遅れや、増加する廃業を新たな課題として捉えていることが分かります。

ポイント②中小企業対策費(要求)が増額

令和4年度の「中小企業対策費」は1,396億円(要求)と、令和3年度1,117億円から約280億円増額されました。
経済産業省がコロナ禍に苦しむ中小企業等に対する支援を、更に強化していく考えであることが分かります。

ポイント③中小企業支援の方向性

経済産業省が示す中小企業支援の方向性の中で、特に注目したいのは以下の3つです。

・事業継続のための着実な支援
・事業再構築、承継、再生を目指す事業者の後押し
・生産性向上による成長促進

それぞれの方向性に応じた具体的な支援内容は以下になります。

事業継続のための着実な支援

概算要求には「資金繰り支援について、引き続き万全を期していく」と記載があり、資金繰り支援や月次支援金等の給付、イベントの再開支援など、現在実施している支援を継続する可能性が高いことが読み取れます。

事業再構築、承継、再生を目指す事業者の後押し

概算要求には「事業再構築補助金」や「事業承継・引き継ぎ等補助金」、各種ガイドラインの改訂・策定検討について記載されています。

事業再構築補助金

概算要求には『引き続きこれらの取り組みを支援する』と記載されています。当初令和3年度のみの施策であると考えられていましたが、コロナの影響が長引いたこともあってか更に新たな予算が要求されているため、令和4年度も公募される可能性が高いと思われます。
また、詳細は不明ですが、最大2年間支援を受けられる、新たな申請類型の追加も見込まれます。

事業承継・引継ぎ等補助金

コロナ禍で事業承継を後ろ倒しにする事業者の増加や、過剰債務に悩む中小企業を支援するため、従来の「事業承継・引継ぎ補助金」が拡充される予定です。
これまでの事業承継やM&Aに加え、再生に取り組む事業者も対象となり、さらに事業承継に廃業を伴う場合には、その廃業費用も補助対象経費となる見込みです。

その他

長期化する新型コロナウイルスの影響を踏まえ、以下のガイドラインの改訂・策定が行われる予定です。

・事業承継ガイドラインの改訂
・事業引継ぎ後の経営統合に関するガイドラインの策定
・事業再生のための私的整理等に関するガイドラインの策定

生産性向上による成長促進

長期化する新型コロナウイルスへの対応や、賃上げ原資の確保に向けて、以下の補助金は令和4年度も公募される予定です。

ものづくり補助金

当初の予定通り「ものづくり補助金」は、令和4年度も公募される予定です。
また「コネクテッド・インダストリーズ」の取組を対象とする申請類型(上限2,000万円、最大2年間の支援)も公募される予定です。
*人・モノ・技術・組織等がデータを介し繋がることで、新たな価値創出を図る取り組み

その他の補助金

「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」は令和4年度も公募される予定です。

国会での予算成立後に詳細情報が公表されます。公表後に、改めて当サイトでも取り上げたいと思います。

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