2026年に勝ち残る企業の「補助金活用4つの提言」

2026 suggestion 補助金・助成金
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2025年最後の記事になります。

本年も多くのご相談をいただき、誠に有り難うございました。

今回は、今年の総決算として主な補助金を検証するとともに、来たる2026年に向けた「企業成長のためのロードマップ」をご提示します。

多数の現場を見てきた我々だからこそ言える「採択される企業の共通点」と「次なる攻め方」。

新たな一年に向けてぜひ最後までお読みください。

2025年の産業分野における補助金の比較・検証

2025年は長らく続いた「事業再構築補助金」が役割を終え、「省力化」というキーワードが産業政策のど真ん中に座った転換点となりました。

補助金名称2025年の検証・特徴企業へのインパクト
中小企業省力化投資補助金(New/主力)【最大の目玉】
カタログから選ぶだけでロボットやIoT機器を導入できる「カタログ型」が定着。手続きが簡易で即効性が高い。
★攻めの中心
人手不足解消に直結する設備投資(配膳ロボ、自動精算機、清掃ロボなど)が導入しやすくなった。
ものづくり補助金(王道/厳格化)【選抜化】
「省力化(オーダーメイド枠)」が強化。賃上げ要件が必須または大幅加点となり、単なる設備投資では採択されにくくなった。
▲難易度増
採択には、革新的な製品開発や、抜本的な生産プロセス改善が必要。「賃上げ」ができる体力のある企業に限られる。
事業再構築補助金(縮小/再編)【終焉・後継へ】
コロナ対策としての役割を終了。2025年は「中小企業新事業進出補助金」へと移行し、要件が厳格化された。
▼縮小
「とりあえず新事業」という甘い計画は通じない。産業構造転換レベルの意義が求められる。
IT導入補助金(インフラ)【標準装備】
インボイス対応とセキュリティ対策が主軸。2025年は「電子帳簿保存法」の対応など、バックオフィスのDXが中心だった。
◎安定的
大規模な投資ではなく、事務作業効率化・法令対応のためのツールとして活用すべき。

上の表からもわかるように「何でもあり」の時代は終了しました。

コロナ禍のような広範な救済措置はなくなり、「人手不足解消(省力化)」と「付加価値向上(賃上げ原資の確保)」に資する設備投資が支援対象の中心となりました。

他方、カタログ注文型が進展しています。申請書類の作成に1ヶ月以上かかる従来の補助金(ものづくり補助金など)から、製品を選ぶだけの「中小企業省力化投資補助金」へのシフトも進みました。

2026年(令和8年)のトレンド予測

2025年8月末に提出された「2026年度(令和8年度)概算要求」や最新の政策動向を分析すると、以下の方向性が確実視されます。

【予測1】「高度な省力化」への支援強化

2025年のカタログ注文型(簡易省力化)に加え、工場のライン全体を自動化するような「オーダーメイド型の高度省力化」への予算配分が増えそうです。

AIを活用した生産管理や、人と同じ空間で安全に共同作業ができる協働ロボットによる完全無人化などがターゲットになります。

【予測2】「中堅企業への成長(スケールアップ)」支援

中小企業の枠を超え、売上100億円規模を目指す「成長加速化補助金」のような、大規模投資(工場新設など)を支援する枠組みが強化されそうです。「小さく留まること」よりも「大きく育つこと」が評価されます。

【予測3】「賃上げ」が参加資格(エントリーチケット)に

どの補助金を使うにしても、「給与支給総額を年率〇%以上向上させる」ことが申請の必須要件、あるいは補助上限額引き上げの要件として定着しそうです。

2026年の「攻め方」を提言

上記を踏まえ、補助金等を活用したい中小企業経営者が今から準備すべき「2026年の攻め方」を4つ提言します。

【提言1】人手不足の業務を棚卸し、カタログとマッチング

◆Action: 自社の業務で「人がやらなくても良い作業」をリストアップしましょう。

◆攻め方: 2026年は「中小企業省力化投資補助金」の対象機器(カタログ)がさらに拡充されます。リストアップした作業を代替できる機器がカタログに載った瞬間、即座に申請できるよう準備してください。特に「清掃」「搬送」「点検」などの業務は狙い目です。

【提言2】賃上げシミュレーションと経営計画の策定

◆Action: 「来期、全社員の給与を3%~5%上げたら、利益はどうなるか?」を今のうちにシミュレーションしておきましょう。

◆攻め方: 補助金の多くは「大幅な賃上げ」を表明すると、上限額が数百万~数千万円の単位で跳ね上がります。 「補助金をもとに設備投資 → 生産性向上 → 利益増 → 賃上げ実行」のサイクルが描けるなら、補助金申請において圧倒的に有利(採択率アップ・受給額アップ)になります。これを経営計画として文書化しておきましょう。

【提言3】「省力化」×「データ連携」のDX投資

◆Action: 単なるソフトウェア導入で終わらせず、データを繋ぐ構想を練りましょう。

◆攻め方: 2026年は、単独のシステム導入よりも「受発注から決済までの一気通貫(インボイス対応含む)」や「工場の稼働データと在庫管理の連携」など、データ連携による生産性向上が高く評価されることが予想されます。新たに公募される予定のデジタル化・AI導入補助金が狙い目です。

【提言4】GビズIDプライムの取得と権限整理

◆Action: まだ取得していない場合は、今すぐにでも「GビズIDプライム」を取得しましょう。

◆攻め方: ほぼすべての補助金申請の入り口です。2026年は手続きの簡素化が進む一方で、セキュリティ要件(SECURITY ACTIONの宣言など)が求められるケースが増えていきます。今のうちに取得しておくことで、「早い時期」での補助金申請が可能になります。(※一般に早い時期の方が、採択率が高い傾向があります)

結論:2026年を「飛躍の年」にするために

2026年は、補助金を単なる「支援」として利用するだけでなく、明確な経営ビジョン(人手不足対策や賃上げ)を実現するための『強力なブースト(加速装置)』として使いこなす企業が、大きなチャンスを掴むことになります。

変化の激しい時代ではありますが、準備さえしておけば、これほど追い風になる制度はありません。

今回の記事をヒントに、ぜひ最高のスタートダッシュを切れるよう準備を進めていきましょう。

本年もお読みくださり、誠に有り難うございました。

来年も皆様の事業成長を全力でサポートしてまいります。

どうぞ良いお年をお迎えください。

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