今回は厚生労働省から令和7年度に公募されている、代表的な助成金をご紹介します。
助成金は毎年少しずつ内容が変わります。
申請をご検討中の事業者様は是非ご確認ください。
厚生労働省系の助成金とは
助成金は厚生労働省が、補助金は経済産業省が管轄しています。
両者の最も大きな違いは、助成金が要件を満たせば原則受給できる一方で、補助金は書類審査等を通過しなければ受給できません。
以下、代表的な助成金と、注意すべき変更点をご説明します。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
概要
有期雇用の契約社員に対して、半年から5年以内に3%以上の昇給をして、正社員化(契約の定め無し)することで、1名当たり40万~80万円の助成金が支給される制度です。
重要な変更点
- 重点支援対象者以外の助成額が半減(2025年4月以降)
- 派遣社員等については、人材開発支援助成金の特定訓練終了後の特例が廃止され、重点支援対象者への加算に統合された
改正前 | 改正後(重点支援対象者) | 改正後(重点対象者以外) | |
有期契約 → 正社員 | 80万円(60万円) | 80万円(60万円) | 40万円(30万円) |
無期契約 → 正社員 | 40万円(30万円) | 40万円(30万円) | 20万円(15万円) |
()内は大企業の場合
「重点支援対象者」とは
以下のいずれかに該当する方です。
- 雇い入れから3年以上の有期雇用労働者
- 雇い入れから3年未満かつ、次の2つの要件を満たす者
- 過去5年以内に正社員歴が1年以下
- 過去1年以内に正社員として雇用されていない - 派遣労働者、母子・父子家庭の親、人材開発支援助成金の訓練修了者
注意点
- 助成金申請前に、キャリアアップ計画をハローワークへ提出する必要がある
- 通算5年を超えて有期雇用されている対象者は、無期雇用とみなされる
業務改善助成金
概要
事業場内(オフィス内)の最低賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に繋がる設備投資を行う場合に、費用の一部が助成される制度です。
中小企業や小規模事業者で、地域別最低賃金からプラス50円以内の事業者が対象です。例えば東京都の場合、時給1,213円以下の従業員が在籍していれば、申請対象となります。
設備投資の活用事例
- POSレジの導入
- 顧客管理や予約受付のITシステム導入
- パソコンやスマートフォンの新規導入(特例事業者のみ)
- 自動車の購入等(特例事業者のみ)
重要な変更点
昨年度 | 今年度 | |
労働者の雇用期間 | 3ヶ月以上 | 6ヶ月以上 |
助成上限(※) | 記載なし | 600万円 |
事業完了期限 | 令和7年12月末 | 令和8年1月31日(延長可) |
大企業 | 一部対象 | みなし大企業は対象外 |
(※) 最低賃金の引き上げ人数、引き上げ幅、事業規模により異なります
注意点
- LEDやエアコンなどの職場環境改善を目的とした設備は対象外
- 交付決定前に設備を購入または導入した場合は対象外
- 賃金引き上げ後の最低賃金額は、就業規則などに明記する必要がある
- 賃金の引き上げは一括で行う必要がある
- 同一事業場での申請は年度内に1回のみとなる
人材開発支援助成金(リスキリング支援コース)
概要
自社で雇用している社員に対してリスキリング(学び直し)を実施することで、訓練経費や訓練中の賃金の一部が助成される制度です。
この制度は、令和8年度までの時限措置として実施されています。
対象となる訓練内容
《訓練内容》
- 新規事業、サービスの立ち上げに必要な専門知識やスキルの習得
- 社内のDX(デジタル化)、GX(脱炭素、グリーン化)推進に必要な訓練
《訓練方法》
- 原則 OFF-JTの座学(eラーニング・通信講座含む)で、10時間以上
助成金額
中小企業 | 大企業 | |
賃金助成額 | 1,000円/時間 | 500円/時間 |
経費助成率 | 75% | 60% |
注意点
- 訓練開始の6ヶ月から1ヶ月前まで間に「職業訓練実施計画届」を提出
- 訓練は必ず全額自己負担で実施(割引や返金を受ける場合は対象外)
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
概要
外国人労働者を雇用する中小企業が、言語や文化の違いに配慮した就労環境を整備することで、1制度につき20万円(最大80万円)の助成が受けられます。
助成金額
1制度の導入につき20万円(最大4制度80万円まで)
《必須の制度》
a.雇用労務責任者の選任
b.就業規則等の多言語化
《選択の制度》(1つ以上)
c.苦情や相談体制の整備
d.一時帰国の休暇制度の整備
e.社内マニュアルや標識類等の多言語化
支給対象となる要件
- 社会保険の適用事業所であること
- 外国人労働者(雇用保険被保険者)を雇用していること
- 就労環境整備計画を事前に提出・認定を受けていること
- 整備後、6ヶ月間の外国人離職率が15%以下であること
- 過去に同コースの助成金を申請し、就労環境整備計画を提出して同コースを申請する場合、最後の受給から3年以上経過していること
支給対象経費の例(外注含む)
- 社内マニュアルや就業規則の翻訳費用
- 外国語標識の制作・設置の費用
- 社会保険労務士への相談対応委託費用
- 外部講習や責任者講習の参加費など
注意点
- 原則、就労環境整備の完了から6ヶ月間の離職率の管理後に申請可能
- 特例として「外国人労働者雇用労務責任者講習」を受講し、就労環境の整備が完了した翌日から2ヶ月以内に申請可能
まとめ
助成金ごとに変更点はありますが、国の支援方針は一貫しており、時代の変化に合わせて柔軟に対応する姿勢が見てとれます。
自社に合った助成金を早めに見極め、戦略的に活用することが重要です。
本助成金だけでなく、さまざまな補助金のトータルサポートを行っております。ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談ください。
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