業務改善助成金を活用!秋の賃上げを機会に!

chinage 補助金・助成金
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中小企業の設備投資に向けた補助金としては、これまで「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」等が多く利用されてきました。

しかし、ものづくり補助金は現在(7月26日時点)公募されておらず、事業再構築補助金は今後の公募がないと推測されています。

こうした状況のもと、企業の設備投資を支援する制度として注目を集めているのが、厚生労働省の「業務改善助成金」です。

さらに、労働者の所得水準向上のため、毎年秋に行われる最低賃金引上げに備え、本助成金を活用したうえで、9月までの賃上げ実施をお勧めいたします。

業務改善助成金の概要

業務改善助成金とは

業務改善助成金(以下、本助成金という)とは、事業場内最低賃金(職場内の従業員で最も低い時給)を引上げ、生産性向上に向けた取組み(設備投資等)を行った事業者に対し、設備などの費用の一部を助成する制度です。

制度概要は下表の通りです。

対象事業者①中小企業の要件に該当すること②事業場内最低賃金と都道府県別最低賃金の差額が50円以下③不交付要件(※)に該当しないこと
助成率4分の3から10分の9
上限額30万円から600万円
対象経費機械装置等購入費、人材育成・教育訓練費、旅費、会議費、経営コンサルティング経費、委託費、印刷製本費など
期間申請期限:2024年12月27日取組期限:2025年1月31日
中小企業・小規模企業者の定義 | 中小企業庁
中小企業および小規模企業の定義について説明しています。中小企業および小規模企業の定義は、業種に応じて資本金や従業員数に基づいています。

※労働保険の滞納がないこと、一定期間内に賃下げや解雇がないこと等。

これらに加え、以下の3点を盛り込んだ「事業実施計画書」を作成し、申請する必要があります。

①事業場内最低賃金を、30円以上引上げること
②引上げ後事業場内最低賃金を、就業規則等に明記すること
③生産性向上につながる取組み(設備投資等)を行い、費用を支出すること

「生産性向上に役立つ取組み」と活用事例

「生産性向上に資する取組み」としては以下のようなものがあります。

主な取り組み対象となる内容
機械装置の導入スチームコンベクションオーブン、配膳ロボット、室内環境測定器、防犯カメラ、自動研磨機等
システムの導入POSレジシステム、顧客管理システム、ECサイト等
研修受講3S(整理・整頓・清掃)研修、ロジカルシンキング研修等
その他改修によるレイアウト変更、福祉車両、フォークリフト等

本助成金の活用事例は、厚生労働省「生産性向上のヒント集」をご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001123285.pdf

助成率

本助成金の助成率は、事業場内最低賃金によって変わります。

なお、決算書類に基づく労働生産性が3年前と比較して一定率程度伸びているという要件(生産性要件)に該当すると助成率があがります。

事業場内最低賃金900円未満900円以上950円未満950円以上
助成率10分の95分の4 (※1)4分の3 (※2)

※1 生産性要件を満たす場合は、助成率が10分の9になります。
※2 生産性要件を満たす場合は、助成率が5分の4になります。

上限額

助成上限額は、賃金を引上げる労働者の数と、賃上げ幅に基づく4つのコース区分で決まります。

秋の賃上げに備えた本助成金の活用

最低賃金は近年大きく引上げられている

この10年の最低賃金(全国加重平均)は、コロナ禍の2020年を除き、2016年以降は毎年25円以上が引上げられており、特に2022年・2023年は30円以上の大幅な引上げとなりました。

賃上げの推進が国の重要な政策であることや、物価高騰等を考慮すると、2024年も30円以上の最低賃金引上げが見込まれます。

<参考> 東京都における賃上げの例

(例)パート等の従業員10人・時給1,113円・労働時間1,500時間の会社が 最低賃金30円引上げに対応して時給を30円引き上げる場合


引上げ前引上げ後
時給額1,113円1,143円(+30円)
1人あたり給与(年間)1,669,500円1,714,500円(+45千円)
給与支給総額(年間)16,695,000円17,145,000円(+450千円)

本助成金を活用した設備投資等により、生産性を向上させることで賃上げに伴うコスト増のカバーにつながります。

秋の賃上げに向け、今すぐにでも本助成金の活用をご検討ください。

秋の賃上げを機会に、設備を導入しよう!

本助成金を利用するためには、事業所内の最低賃金を引き上げる必要があります。

秋の賃金引き上げ前に、最低賃金を引き上げ、本助成金を活用することをお勧めします。

業務改善助成金の特徴

本助成金には、ものづくり補助金などと比較して、次の3つの特徴があります。

申請手続きと審査が簡便

業務改善助成金は、事業実施計画書がシンプルで、審査基準も緩やかです。

一方、ものづくり補助金は10ページ程度の詳細な事業計画書が必要で、採択率も約35.8%(第18次締切時点)と競争率が高くなっています。

助成率が高水準

業務改善助成金は助成率 75%~90%(4分の3から10分の9)である一方、ものづくり補助金の補助率は50%~66.7%(2分の1から3分の2)となっており、比べると業務改善助成金の助成率の方が高くなっています。

仮に税抜400万円(税込440万円)の設備を導入する場合、自己負担額は下表になるため、業務改善助成金の方が有利です。

ものづくり補助金(補助率2分の1の場合)240万円(440万円-(400万円×1/2))
業務改善助成金(助成率4分の3の場合)140万円(440万円-(400万円×3/4))

対象経費が多様

本助成金は、機械装置購入費のほか、セミナー受講料・マニュアル印刷費など、幅広い経費を申請できます。

特に、物価高騰等により利益率が一定程度下がった事業者(特例事業者)は、補助金等では対象外の一部車両やパソコンも申請できるのは魅力です。

本助成金の手続とスケジュール

①「事業実施計画書」に付属書類・添付書類(見積書等)を添えて、各都道府県の労働局に申請(電子申請も可能、12月27日締切)
②事業場内最低賃金の引上げ(事業実施計画書等の提出日以降に引上げ)
③労働局による審査・交付決定(1か月以上かかります)
④設備投資等の実施設備投資等は交付決定後に行う必要があります。また、助成事業は原則2025年1月31日までの完了が必要です。
⑤実績報告書の作成・提出(助成事業完了日から1か月後または2025年4月10日の早い日までに)
⑥労働局による審査・助成金の受給(20日程度かかります)
⑦賃上げに関する「状況報告」を労働局へ提出

まとめ

今回は、業務改善助成金のポイントと、秋の賃上げに向けた活用方法を説明してきました。

ぜひご活用ください。

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