今回は、東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」(以下、躍進的助成金)の中で、2025年に新設された最大2億円の「アップグレード促進区分」についてご案内します。
2025年度秋に予定されている第10回公募は、10月~11月頃の締切が見込まれます。
躍進的助成金とは
「躍進的事業推進のための設備投資支援事業」は、東京都が公募する大型設備投資に関する支援制度です。
中小企業の競争力強化、DXの推進、イノベーションの創出を目的としており、都内中小企業の成長を後押しすることを目指しています。
毎年、春5月~6月、秋10月~11月に公募をしています。
アップグレード促進区分とは
2025年より新設された「アップグレード促進区分」は以下のような事業が対象です。
本区分は、「競争力強化及び生産性向上を実現し、地域経済の中心となるべく成長するために必要となる機械設備を新たに導入する事業であり、設備投資後、従業員一人当たりの付加価値額(=「労働生産性」)を年率3%以上向上する計画である事業」と定められています。
単なる設備更新や省力化を目的とした投資ではなく、成長性・収益性の高いビジョンを持つ戦略的な投資が求められます。
助成金額及び助成率
アップグレード促進区分の助成金額と助成率は以下のとおりです。
助成金上限額 | 2億円 |
助成金下限額 | 1億円 |
助成率 | 3/4以内 |
全国的にみても極めて高額な助成金額であり、大規模な成長投資を計画する企業には絶好の機会となります。
要件等について
アップグレード促進区分では、ゼロエミッション要件と賃上げ要件を両方とも満たすことに加え、アップグレード促進区分のみで必要な資料の提出を求められます。
ゼロエミッション要件
ゼロエミッション要件については、ゼロエミッション概要書を作成し、記載内容から省エネ効果が高いと見込まれることが総合的に判断されます。
主な記載内容は以下の通りです。
・対象となる省エネルギー型設備
・設備導入をきっかけに企業全体として5%以上の省エネルギー対策
・上記の省エネルギー対策以外でゼロエミッション対策に取組む内容など
加えて、次のいずれかの省エネに関する診断を受診することで発行される診断報告書の提出が必要です。
・省エネ診断報告書又は省エネ最適化診断報告書(SIIが管轄する省エネ診断事業で、設備の気軽な診断を希望の事業者から分析を伴うきめ細やかな診断を行うことを希望する事業者まで幅広い方が、登録診断機関を通じて受診することが可能)
詳細:省エネ診断HP

これらの診断には一定の準備期間がかかるため、秋の申請に間に合わせるには、早期の申込み・受診(上記HPを参照)が重要です。
賃上げ要件
賃上げ要件では、以下を満たす必要があります
・給与支給総額の引き上げ
基準日が属する月の前月から遡る12か月間で全従業員(役員は除き、非常勤を含む)に支払った給与等に1.02を乗じた額以上に増加させること
・最低賃金の上乗せ
設備等の設置場所の事業場内最低賃金を、地域別最低賃金より+30円以上とすること
アップグレード促進区分の主な提出書類
生産(増産)要請に関する証明書の提出
申請時に「生産(増産)要請に関する証明書」の提出が必要です。
これは、都内に所在する取引先企業から、申請事業に関連する製品・サービスについての生産(増産)依頼を証明してもらうものです。
取引先企業は、
・生産拠点が都内にある場合は、東京都内に本店または支店等があること、
・生産拠点が東京都外にある場合は、東京都内に本店があり、神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県・山梨県の何れかに工場等が所在すること
が条件となります。
*注意:親会社・子会社・グループ企業等関連会社を兼任している会社は証明書の発行主体にはなりません。
パートナーシップ構築宣言※の写しの提出
パートナーシップ構築宣言とは、事業者が、サプライチェーン全体の付加価値向上や大企業と中小企業の共存共栄を目指し、「発注者」側の立場から、「代表権のある者の名前」で宣言するものです。
詳細は以下をご参照ください。
「パートナーシップ構築宣言」
助成金の交付について
本制度における助成金は、基本的に助成事業終了後に、全額交付されますが、アップグレード促進区分においては、他の事業区分と異なり、交付は2回に分けて交付されます。
第1回は補助率2/3で交付され、第2回は助成金額との差額が賃上げ達成の確認後に支給されます。
【助成金交付イメージ】
対象経費 | 1億5,000万円 |
助成金額(助成率3/4) | 1億1,250万円 |
1回目 | 1億5,000万円×2/3=1億円 |
2回目 | 1億1,250万円-1億円=1,250万円 |
まとめ:本枠は超大型!早めの準備がカギです。
アップグレード促進枠は、東京都の助成金の中でも最大規模(2億円)の支援が受けられるチャンスです。
一方で、ゼロエミッション要件は概要書の作成、生産性向上の計画策定、都内等取引先からの証明、パートナーシップ構築宣言、賃上げ計画や省エネ診断など、事前準備に時間を要する書類が多数あります。
特にゼロエミ要件の「省エネ診断」は、診断の実施から結果報告書の取得に時間がかかるため、今すぐの着手を推奨します。
躍進的助成金にご関心のある方は、ぜひ早めにご相談ください。
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