事業承継・M&A補助金の16次公募|枠別の上限額・補助率・申請手順

M&A hojokin 補助金・助成金
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事業承継・M&A補助金は、事業承継に伴う設備投資や、M&A・M&A後の経営統合(PMI)で使う専門家費用などを国が支援する制度です。後継者への引き継ぎを考えている経営者、会社や事業を譲りたい経営者、会社や事業を譲り受けたい経営者が対象になります。

現在の公募は16次公募です。申請の受付は2026年10月2日に始まっており、締切は2026年11月6日(金)17:00です。この記事は2026年10月時点の公募要領をもとに、枠ごとの上限額・補助率、スケジュール、申請の流れ、つまずきやすい点を整理しました。

金額や要件は公募回ごとに変わります。申請前に、事務局の事業承継・M&A補助金 事務局サイトと、各枠の公募要領で最新の内容を確認してください。

事業承継・M&A補助金の4つの枠

16次公募には、次の4つの申請枠があります。自社の状況に合う枠を選びます。

枠向いているケース補助上限額補助率
事業承継促進枠5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している800万円(賃上げ要件を満たすと1,000万円)小規模事業者等は2/3以内、それ以外は1/2以内
専門家活用枠M&Aで経営資源を譲り渡す、または譲り受ける買い手支援類型・売り手支援類型は600万円(デュー・ディリジェンス費用で200万円加算)。小規模売り手支援類型は450万円。買い手の100億企業特例は2,000万円買い手2/3以内、売り手1/2以内(赤字などは2/3以内)、小規模売り手2/3以内、100億企業特例は1/2以内と1/3以内
PMI推進枠M&A後の経営統合に取り組むPMI専門家活用類型は150万円。事業統合投資類型は800万円(賃上げ要件を満たすと1,000万円)PMI専門家活用類型は1/2以内。事業統合投資類型は小規模事業者等が2/3以内、それ以外は1/2以内
廃業・再チャレンジ枠事業承継やM&Aに伴って廃業する300万円2/3以内

出典:事業承継促進枠の公募要領、専門家活用枠の公募要領、PMI専門家活用類型の公募要領、事業統合投資類型の公募要領、廃業・再チャレンジ枠の公募要領。上限額に届く申請には、各枠で定める要件を満たす必要があります。

16次公募のスケジュール

項目日程
公募要領の公開2026年9月4日
公募申請の受付2026年10月2日(金)から2026年11月6日(金)17:00まで(Jグランツで電子申請)
採否の決定2026年12月下旬以降(予定)
補助事業期間2027年1月(下旬予定)から14か月以内を想定

出典:事業承継促進枠の公募要領(13.2 申請受付期間、8 補助事業期間)と事務局の16次公募の概要資料。採否の決定は予定で、変わる場合があります。

締切の直前は書類の確認が間に合わなくなりやすい時期です。事業承継促進枠と廃業・再チャレンジ枠は、認定経営革新等支援機関の確認書が必要なので、早めに依頼してください。

事業承継促進枠(親族内承継・従業員承継)

補助上限額と補助率

補助上限額は800万円です。3%以上の賃上げ要件を満たすと1,000万円に上がります。補助率は、小規模事業者等なら補助対象経費の2/3以内、それ以外は1/2以内です。1,000万円に上がった場合も、800万円を超える部分の補助率は1/2以内になります。補助下限額は100万円です。

小規模事業者等とは、製造業その他は従業員20人以下、商業・サービス業は従業員5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業は従業員20人以下の会社や個人事業主を指します。

賃上げ要件は、補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)と比べて、翌年度の従業員1人当たりの給与支給総額を3%以上増やすことです。公募申請までに、3%以上の賃上げを、全ての従業員(または従業員代表者)と役員に表明する必要があります。達成できなかった場合や、事業計画期間中の各事業年度末に水準を維持できなかった場合は、引き上げ分(最大で200万円)の返還を求められます。

主な要件

  • 承継予定者が、対象会社の役員としての経験、または継続した従業員としての経験が3年以上ある人(役員と従業員の経験を通算して3年以上でも可)か、被承継者の親族で対象会社の代表経験がない人であること。役員・従業員が承継する場合は、その人が申請時に対象会社に在籍していることも必要です
  • 公募申請時点で、対象会社が3期分の決算と申告を終えていること(開業後に法人成りして3年たっていない場合は、開業からの通算で5年以上たっていれば要件を満たす扱いです)
  • 2031年11月5日までに事業承継を完了する見込みが高いこと。認定経営革新等支援機関から、事業承継の確からしさについて確認を受けた計画書が必要です
  • 経営権と所有権(株式や持分)の両方を、被承継者から承継者へ譲ること

出典:事業承継促進枠の公募要領(6.1 補助対象となる事業承継の要件、10 補助上限額、補助率等)。

事業承継では、後継者に株式を渡す手続きや、金融機関との間の経営者保証の扱いも並行して整理する必要があります。経営者保証の外し方は、経営者保証の外し方の記事にまとめています。

専門家活用枠(M&Aの買い手・売り手)

M&Aの仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)、デュー・ディリジェンス(買収前の調査)などに払う専門家費用を補助します。買い手と売り手の両方が申請できます。

類型補助上限額補助率補助下限額
買い手支援類型600万円(デュー・ディリジェンス費用で200万円加算)2/3以内50万円
売り手支援類型600万円(デュー・ディリジェンス費用で200万円加算)1/2以内。赤字、または物価高などで営業利益率が低下している場合は2/3以内50万円
小規模売り手支援類型450万円(補助事業期間内に成約しなかった場合は50万円)2/3以内なし
買い手支援類型の100億企業特例2,000万円1,000万円以下の部分は1/2以内、1,000万円を超える部分は1/3以内50万円

出典:専門家活用枠の公募要領、小規模売り手支援類型の公募要領、100億企業特例の公募要領(いずれも10 補助上限額、補助率等)。

  • 補助事業期間内にM&Aが実現しなかった場合(クロージングまで完了しなかった場合)は、買い手・売り手支援類型の補助上限額が300万円に変わります。この場合、補助対象はおもにデュー・ディリジェンス費用に限られます
  • FA・仲介業者への費用は、「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者のサービスが対象です。依頼先が登録されているか、契約前に確かめてください
  • 小規模売り手支援類型でも、補助事業期間内にクロージングしなかった場合は補助上限額が50万円に変わり、対象は着手金、システム利用料、デュー・ディリジェンス費用に限られます
  • 売り手支援類型と小規模売り手支援類型は、同じ公募回に同時に申請できません
  • 100億企業特例は、100億宣言を「100億企業成長ポータル」に公表していることが条件の一つです。譲渡価額や雇用維持などの条件も別にあるため、公募要領で確認してください。不採択になっても、通常の買い手支援類型には移りません

買い手支援類型では、補助対象経費に入れるかどうかにかかわらず、デュー・ディリジェンスの実施が要件です。M&Aで起きやすいトラブルはM&Aのトラブルの記事で整理しています。

PMI推進枠(M&A後の経営統合)

PMIは、M&Aが成立した後に行う経営統合の作業です。M&Aの目的を実現させ、統合の効果を最大化することが目的です。PMI推進枠には2つの類型があります。

  • PMI専門家活用類型:統合作業のために専門家へ払う費用が対象です。補助上限額は150万円、補助率は1/2以内、補助下限額は50万円です
  • 事業統合投資類型:統合に伴う設備投資や外注費、委託費などが対象です。補助上限額は800万円(3%以上の賃上げ要件を満たすと1,000万円)、補助率は小規模事業者等が2/3以内、それ以外は1/2以内(1,000万円に上がった場合の800万円を超える部分は、小規模事業者等も1/2以内)、補助下限額は100万円です

出典:PMI専門家活用類型の公募要領、事業統合投資類型の公募要領(10 補助上限額、補助率等)。専門家活用枠の買い手支援類型と、PMI専門家活用類型は、同じ公募回で同時に申請できます。

廃業・再チャレンジ枠

事業承継やM&Aに伴って廃業する費用を補助します。単独で申請する場合(再チャレンジ申請)は、2020年以降にM&Aで事業の譲り渡しに着手したものの成約に至らなかった方が対象です。着手とは、事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼、M&A支援機関との包括契約、M&Aマッチングサイトへの登録のいずれかを指し、申請者自身で進めた場合は対象外です。申請期日の時点で着手から3か月以上たっている必要があります。補助上限額は300万円、補助率は2/3以内、補助下限額は50万円です。再チャレンジ計画書の提出と、認定経営革新等支援機関の確認書が必要です。

ほかの枠と併用する場合は、廃業・再チャレンジ枠としてではなく、事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠それぞれの申請の中で廃業費を申請します。廃業費の補助上限額は、枠ごとに300万円(小規模売り手支援類型は150万円)が加算されます。買い手支援類型とPMI専門家活用類型を同時に申請する場合、廃業費は買い手支援類型の申請の中で申請します。専門家活用枠では、関連するM&Aが補助事業期間内に実現しなかった場合、廃業費は補助対象外です。

出典:廃業・再チャレンジ枠の公募要領(10 補助上限額、補助率等)と、各枠の公募要領。

申請から補助金を受け取るまでの流れ

  1. 公募要領を読み、自社に合う枠を決める
  2. GビズIDプライムのアカウントを取得する(未取得の場合)
  3. 事業承継計画や補助事業計画を作る。事業承継促進枠・廃業・再チャレンジ枠は、認定経営革新等支援機関に確認書を依頼する
  4. Jグランツから公募申請する
  5. 事務局の審査を経て、採択を受ける
  6. 採択後に交付申請をして、交付決定を受ける
  7. 補助事業を実施する(契約・発注・支払い)
  8. 実績報告をして、検査を受けたうえで、補助金が支払われる(事業完了後の精算払いです)

GビズIDプライムの発行には日数がかかります。未取得の方は、公募が始まる前に手続きを済ませてください。最新の所要期間はGビズIDの公式ページで確認できます。取得の手順はGビズIDの記事にまとめています。

出典:事業承継促進枠の公募要領(12.3 申請までの流れ、10 補助上限額、補助率等)と専門家活用枠の公募要領(11 事業の流れ)。

つまずきやすい点

  • 交付決定の前に発注・契約すると、補助対象になりません。専門家活用枠では、FA・仲介業者との契約(着手)は交付決定通知書を受け取ってからです。補助対象経費は、交付決定日以降かつ補助事業期間内に契約・発注し、支払いまで終えたものに限られます
  • 事業承継促進枠は、代表者の交代だけでは足りません。経営権と所有権(株式など)の両方が移る必要があります。株式を前代表が持ち続ける形では、要件を満たさないおそれがあります
  • 後継者の資格は申請時点で決まっている必要があります。3年以上の経験がある従業員・役員か、代表経験のない親族かを、書類で示せるようにしておきます
  • 補助金は精算払いです。先に費用を自社で払い、実績報告の後に受け取ります。つなぎの資金を用意してください
  • 1件50万円以上(税抜)の支払いには、原則として2者以上の相見積が必要です。外注費と委託費は、50万円未満でも原則として相見積が必須です(専門家活用枠では、システム利用料と保険料も同様です)。取り損ねると、交付額が減るおそれがあります
  • 申請書の作成を有償で代行できるのは、行政書士(または行政書士法人)に限られます。行政書士以外が作成したことが交付決定後にわかると、交付決定が取り消される可能性があります
  • 実費とかけ離れた高額な成功報酬を求める業者に注意してください。公募要領にも注意書きがあります

出典:事業承継促進枠の公募要領(9 補助対象経費、12.1 電子申請、注意書き)と専門家活用枠の公募要領。

よくある質問

後継者がまだ決まっていなくても申請できますか。

事業承継促進枠は、公募申請の時点で、要件を満たす承継予定者を選んでいる必要があります。決まっていない場合は、後継者の選定が先です。事業承継促進枠の対象期間は、2026年11月6日から5年後の2031年11月5日までに承継を完了する予定のものです。

買い手と売り手が同じM&Aで、それぞれ申請できますか。

専門家活用枠は、買い手支援類型と売り手支援類型があり、買い手と売り手の両方が対象です。それぞれが自社の経費で申請します。ただし、売り手が売り手支援類型と小規模売り手支援類型を、同じ公募回で同時に申請することはできません。

15次公募では、どれくらいの申請と採択がありましたか。

事務局の発表では、15次公募の申請は551件、採択は338件でした。内訳は、事業承継促進枠が申請190件・採択115件、専門家活用枠が申請312件・採択194件、PMI推進枠が申請47件・採択28件、廃業・再チャレンジ枠が申請2件・採択1件です(2026年9月11日の発表)。採択される水準は公募回で変わります。数字は参考にとどめ、要件と書類を整えることを優先してください。出典:事務局サイト。

これまでの変更

この補助金は、もとは「事業承継・引継ぎ補助金」という名前でした。当時は、経営革新事業、専門家活用事業、廃業・再チャレンジ事業の3つで構成されていました。令和6年度から名称が「事業承継・M&A補助金」に変わり、現在は4つの枠で募集しています。旧名の記事を読んで来た方は、この記事の内容が現行の制度です。

出典:補助金活用ナビ(中小機構)、事業承継・引継ぎ補助金(事務局の旧サイト)。

申請の相談

枠の選び方、事業計画の組み立て、認定経営革新等支援機関への確認書の依頼は、早めに動くほど選択肢が広がります。ENTHRIVERでは、補助金の申請について相談を受けています。認定経営革新等支援機関の確認書が必要な申請は、松嶋が所属するコンサルティング・ビジネス研究会を通じて対応します。

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