融資を受けている会社の経営者や経理担当者の中には、自社の決算書が金融機関からどのように見られているのか、気にされている方々も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方々に役立つ「財務診断レポート」をご紹介します。
はじめに
銀行をはじめとする金融機関から融資を受けている企業は多いと思いますが、金融機関どのように貴社の格付を決めているか、ご存じでしょうか。
決算書を見て決めている、ということまでは知っていても、それ以上は把握されてない方も多いのではないでしょうか。
今年3月に日銀がマイナス金利政策の解除を決めたことを機に、今後は融資の利率も上昇していく可能性があります。
新たに融資を受ける際に、「今の利率だと審査を通せないので」と、金利引き上げを要求されることも想定されます。
そのような場合に備えて、金融機関の担当者が何を考え、決算書のどこを見ているのか、把握しておくことが大切です。
金融機関は企業の決算書をどのように見ているのか
金融機関では決算状況等をもとに、取引先を「正常先」、「要注意先」、「破綻懸念先」、「実質破綻先」、「破綻先」の5つに区分しており、これを「債務者区分」といいます。
更に正常先・要注意先は、その中でもそれぞれ細かく区分があります。
債務者区分・格付のイメージ
債務者区分 | 格付表記 | 定義 |
正常先 | A | 財務状況が極めて良好 |
B | 財務状況は良好 | |
C | 財務状況に問題はないといえる | |
D | 現状は問題ないが、環境変化に対する 抵抗力が低い | |
要注意先 | E1 | 業績低調など財務状況に問題がある(返済を滞納している等も含む) |
E2 | ||
破綻懸念先 | F | 今後経営破綻になる可能性が大きい |
実質破綻先 | G | 深刻な経営難の状態にあり、 再建の見通しがない |
破綻先 | H | 法的・形式的に経営破綻の状態にある |
債務者区分・格付は、過去の統計情報をもとに構築された数理モデルにより判別しています。
メガバンク等の大手金融機関は独自の数理モデルを構築し、中小企業の信用リスクを評価していると言われています。
一方、地方銀行や信用金庫・保証協会等では主にCRD協会(※)が提供する「CRDモデル」を用いてリスクの評価をしていると言われています。
(※CRD協会は、中小企業の信用リスク情報を集積・分析する日本最大規模のデータベース機関)
(参考)CRDモデルとは
CRDモデルの詳細は公開されていませんが、以下のような指標に着目して判別していることが読み取れます。
・自己資本比率
・債務償還年数
・借入金依存度
・粗利率/営業利益率
・手元流動性比率 (現預金月商比率) など
融資の可否のみならず、利率も債務者区分に基づき決められます。
要注意先より正常先のほうが、また正常先の中でもランクが高くなるほど、利率は低くなります。
(なお、破綻懸念先以下の企業は新規融資を受けられる可能性は極めて低いです)
企業側はどのような対策ができるのか
ここまでの話を受けて、「そんなことを言われても、具体的に何をすればいいのかわからない」とお感じになる方々もおられるでしょう。
また、今のところ金融機関との関係性に問題はないという経営者でも、
・自社の財務状況がどれくらいの格付なのか?
・どのように改善すれば、より高い評価へ格付されるのか?
知りたい方々も多いのではないでしょうか。
とはいえ、金融機関へ「当社の格付はどうなの?」と聞いたところで、回答してくれる可能性は極めて少ないです。
そこで、そのような会社に役立つ「財務診断レポート」をご紹介します。
財務診断レポートとは
このレポートは、過去2期の決算書の情報を入力するだけで、金融機関と同じ視点で財務状況を評価できるものです。
具体的には、債務償還年数と自己資本比率を基に債務者区分を算出し、さらに8つの財務指標をビジュアルで分かりやすく分析します。
簡易的ですが金融機関のような格付を分析し、どの分野を強化すれば格付が高まるのかも、ご提示できます。
また、中小企業診断士による経営改善策の提案や、国等の支援制度の利用もご案内します。
まとめ
最近では金融庁の指導もあり、事業の成長性や社会的意義など非財務の要素を評価・審査する金融機関も出始めていますが、まだまだ多くの金融機関は決算書を審査のベースとしています。
「財務のことはよくわからないので税理士に任せている」という経営者の方も財務診断レポートを機に、自社の財務状況を見返してみてはいかがでしょうか。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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