JAPANブランド補助金はどうなった?現行のグローバル枠を解説

補助金・助成金
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海外に自社の製品を売り出したい中小企業向けに、かつて「JAPANブランド補助金」(JAPANブランド育成支援等事業費補助金)という制度がありました。

この補助金はものづくり補助金に統合されました。令和8年度には、別の制度として「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が始まり、海外市場開拓(輸出)に向けた国内の体制強化は、そのグローバル枠で支援されています。この記事では、JAPANブランド補助金からの移り変わりと、いま申請できるグローバル枠の中身を、第1回公募の公募要領をもとに整理します。

※申請する際は、必ず最新の公募要領を確認してください。

JAPANブランド補助金からグローバル枠までの流れ

JAPANブランド補助金の流れは、3つの段階に分けて見ると分かりやすくなります。ただし、後の制度は前の制度の名前が変わっただけではなく、制度として別のものです。要件や補助額は段階ごとに違うので、現行の内容は公募要領で確認してください。

JAPANブランド育成支援等事業

国の補助事業として公募されていました。北海道経済産業局の案内ページには、令和4年度の公募の案内が掲載されています。

ものづくり補助金の「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」(2023年)

同じページに、本事業は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」のグローバル市場開拓枠「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」に統合されたと書かれています。令和5年1月に公募が始まったものづくり補助金14次締切の公募要領では、この類型の補助金額は100万円~3,000万円でした(賃上げによる上限引上げ特例は別途)。

その後、ものづくり補助金の枠は「グローバル枠」に整理されました。中小機構のものづくり補助金の案内ページによると、第20次公募のグローバル枠の通常の補助上限額は3,000万円(賃上げによる上限引上げ特例は別途)、補助率は中小企業1/2、小規模事業者2/3です。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の「グローバル枠」(令和8年度から)

中小機構のものづくり補助金の案内ページでは、ものづくり補助金は令和8年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として公募されていると案内されています(中小機構)。ただし、新制度の公式サイトは、これを従来の「中小企業新事業進出補助金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金と明記しています。新制度は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの枠で構成されています。新しい国・地域への輸出に向けて国内の拠点を強化する取り組みは、グローバル枠の対象です。

ほかの2つの枠を含む制度全体は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公式サイトで確認できます。関連記事:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

グローバル枠の概要

第1回公募の公募要領から、グローバル枠の骨格を表にしました。

項目内容
支援の対象海外市場開拓(輸出)に向けた、国内の輸出体制強化の取組
補助上限額従業員数に応じて2,500万円~7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)
補助下限額750万円
補助率2/3(小規模企業・小規模事業者、再生事業者を含む中小企業者)
補助事業実施期間交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)
第1回の申請締切令和8年10月30日(金)18:00

対象になる事業と事業者

グローバル枠の対象は、次の2つを両方満たす事業です(公募要領 1-2-3)。

  • 自社の製品等を使い、自発的に新しい海外販路を開拓するために、国内の製造等の拠点を強くする取り組みであること
  • その製品等の市場が、自社にとって新しい海外市場であること(既存事業で対象にしていなかった国・地域。ここでの地域は統計上、国に準じて数える領域で、同じ国の中の州や都市などの行政区画は含みません)

公募要領は、取引先主導の事業は自発的な取組とは言えず補助対象外としています。自社で輸出先の国・地域を選び、そのために国内の工場や設備を整える計画かどうかを確認してください。

申請できるのは、日本国内に本社と補助事業実施場所を持つ中小企業者などです。業種ごとの資本金・従業員数の基準は公募要領の「1-4. 補助対象者」で確認してください。

補助上限額と補助率

補助上限額は従業員数で決まります。括弧内は賃上げ特例を使った場合の上限です(公募要領)。

従業員数補助上限額
1~20人2,500万円(3,000万円)
21~50人4,000万円(5,000万円)
51~100人5,500万円(7,000万円)
101人以上7,000万円(9,000万円)

補助率は2/3です。新事業進出枠の補助率は1/2で、地域別最低賃金引上げ特例を使える事業者だけ2/3になります。グローバル枠は、この特例を使わなくても2/3です。

補助下限額は750万円です。14次締切のグローバル市場開拓枠(100万円から)と比べると、小さな販促中心の計画は、この枠には合いにくくなっています。

補助対象経費

グローバル枠の補助対象経費は次のとおりです。海外旅費と通訳・翻訳費は、3つの枠のうちグローバル枠だけで使えます。

  • 機械装置・システム構築費、建物費
  • 運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費
  • 外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 海外旅費、通訳・翻訳費

経費ごとの注意点です(公募要領 1-6)。

  • 機械装置・システム構築費か建物費のどちらかを必ず入れる必要があります。販促や渡航だけの計画は申請できません
  • 海外旅費の上限は補助対象経費総額(税抜き)の5分の1です。1回の渡航で使えるのは事業者3名まで(専門家・通訳者が同行する場合は2名まで追加)、1人あたり最大50万円(補助金額ベース)です
  • 通訳・翻訳費の上限は30万円(税抜き)です。翻訳は広告宣伝・販売促進に必要なものに限られ、契約書の翻訳は対象外です
  • 広告宣伝・販売促進費の上限は、事業計画期間内の補助事業の売上見込み額の合計を計画年数で割った額(1年あたりの平均)の5%です

申請の要件

補助事業終了後3~5年の事業計画で、次の基本要件を満たす必要があります(公募要領 1-3-1)。

  • 付加価値額の年平均成長率を4.0%以上にする
  • 従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率について3.5%以上の目標値を自社で設定し、交付申請時までに全従業員または従業員代表者に表明したうえで達成する(表明がない場合は交付決定が取り消され、補助金全額の返還となります。目標値に届かない場合は未達成率に応じて返還、年平均成長率がゼロかマイナスなら全額返還。天災など事業者の責めによらない理由がある場合などは返還を求められません)
  • 事業場内最低賃金を、地域別最低賃金より毎年30円以上高くする(未達の場合は補助金の返還あり)
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表する
  • 子育て等に関する職場環境整備の取り組みを、公募要領が定める3つの選択肢から1つ選んで行う(一般事業主行動計画の内容にとどまらない追加的な取組であることを応募時に説明し、実績報告時に証憑を出します。使えるサービスや対象事業者に条件があります。くるみん認定等を取得している事業者は免除)
  • 金融機関から資金を借りて実施する場合は、その金融機関の確認書を出す

賃上げ特例で上限額を引き上げる場合は、1人あたり給与支給総額の年平均成長率を合計6.0%以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高くする計画が必要です。達成できなければ、引き上げ分の補助金を全額返還し、基本要件の部分も未達成率に応じて返還を求められます。なお、グローバル枠で申請する再生事業者や、補助上限額に達しない計画では、賃上げ特例を使えません。

一般事業主行動計画の公表には時間がかかります。公募要領は、2週間以上の余裕をもって公表申請をするよう求めています。

スケジュールと申請の流れ

第1回公募の日程です(公募要領 2-2)。

項目日程
公募開始令和8年6月29日(月)
申請受付令和8年9月30日(水)
申請締切令和8年10月30日(金)18:00
採択発表令和9年1月頃(予定)

申請の大まかな流れは次のとおりです。

  • GビズIDプライムアカウントを取る(取得には日数がかかるので早めに)
  • 一般事業主行動計画を策定して公表する
  • 輸出先の国・地域の調査をもとに事業計画をつくる
  • 電子申請システムで申請する(申請は電子申請のみ)
  • 必要に応じて口頭審査を受ける

GビズIDの取り方は「GビズID」の概要および取得方法で解説しています。

審査で見られる点と加点

グローバル枠に特有の審査の観点は次の3つです(公募要領 2-2-2・3-1)。

  • 海外販路を開拓する戦略が、自社の事業戦略に基づいていること
  • 補助事業の顧客層が、これまでの事業と国・地域の単位で違うこと
  • 輸出先の国・地域に特有のリスクや、文化・法規制・商習慣の違いを把握していること

加点項目のうち、次の2つはグローバル枠だけが対象です。どちらも申請事業者が自分でポータルサイトに登録します。

反対に、過去3年間にものづくり補助金か新事業進出補助金で交付決定を1回受けている事業者は減点されます。直近の公募で採択された事業者など、そもそも申請の対象外になる場合もあるので、過去に利用した事業者は公募要領の「1-4-2. 補助対象外となる事業者」を確認してください。

注意点・よくあるつまずき

設備を置くのは国内の拠点

グローバル枠が支援するのは、輸出に向けた国内の製造等拠点の強化です。補助対象者は日本国内に本社と補助事業実施場所を持つ必要があり(公募要領 1-4-1)、海外の工場に設備を置く計画は申請できません。

1回の公募につき1申請

親会社と子会社など「みなし同一事業者」も含めて、1回の公募で申請できるのは1件です。複数の事業を考えている場合は、1つの事業計画書にまとめて書きます。

よくある質問

Q. JAPANブランド補助金はもう申請できませんか?

A. 北海道経済産業局のページでは、JAPANブランド育成支援等事業はものづくり補助金に統合されたと案内されています。海外向けの設備投資なら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のグローバル枠を検討してください。

Q. 設立して1年たっていない会社でもグローバル枠に申請できますか?

A. 設立1年未満を理由に対象外になるのは新事業進出枠で、グローバル枠では除外されません。ただし、応募申請時点で従業員数が0名の事業者は対象外です(公募要領 1-4-2)。ほかの対象者・事業の要件は、設立直後でも同じように満たす必要があります。

Q. 展示会への出展や海外向けのサイト制作だけでも使えますか?

A. 使えません。機械装置・システム構築費か建物費のどちらかが必須です。展示会出展やサイト制作は、設備投資とあわせて広告宣伝・販売促進費として計上します。

申請の相談

グローバル枠は補助率が高い一方、輸出先の調査や賃上げ計画まで求められ、準備に時間がかかります。輸出の計画を事業計画書にどう落とし込むか迷ったら、補助金の申請支援からご相談ください。

ほかに使える補助金を探す場合は、補助金データベースもご覧ください。

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