補助金の事業計画書や提案書を文章だけで書くと、審査する側が読み疲れます。スケジュール、体制、収支、市場での立ち位置の4つは、図にした方が早く伝わります。私が計画書の支援でよく使う図を10種類に絞り、AIに作らせるときの指示文を付けました。指示文はビジュアル逆引き辞典の各ページからコピーできるものを、事業計画書向けに書き換えてあります。
計画書の項目と、合う図
計画書のどの項目にどの図が合うか、先に表にします。
| 計画書の項目 | 図 | 何を見せるか |
|---|---|---|
| 事業の全体像・3か年の方向性 | ロードマップ | いつ頃、何をするか(粗く) |
| 実施スケジュール | ガントチャート | 各作業の開始・終了と重なり |
| 収支計画・投資の内訳 | ウォーターフォールチャート | 売上から利益までの増減 |
| 実施体制 | 階層図・組織図 | 誰がどこを担当するか |
| 現状分析 | SWOT | 強み・弱み・機会・脅威 |
| 市場での立ち位置 | 2×2マトリクス | 競合との位置関係 |
| 課題と目標 | ギャップ図 | 現状と目標の差 |
| 導入前後の変化 | ビフォーアフター | 何がどう変わるか |
| 業務や生産の流れ | プロセス図 | 手順の順番 |
| 数値目標 | 3つ横並びの数字 | 目標を3つ、同じ重さで |
10種類それぞれの使いどころと指示文です。指示文の数字と言葉は、自分の計画に差し替えてください。
1. ロードマップ:3か年の方向性
計画書の冒頭で「この3年で何をするか」を一枚で見せる図です。四半期や年度の単位でフェーズを帯にします。細かい日程はガントチャートに任せ、ここは方向性だけを書きます。
3年のロードマップ。横軸は年度(1年目・2年目・3年目)。「設備導入」「生産開始」「販路拡大」の3フェーズを矢印状の帯で段違いに置く。1年目の帯だけアクセント色。各帯に主な施策を2つ。
2. ガントチャート:実施スケジュール
実施スケジュールで使う定番の図です。補助事業の実施期間に収まっているか、作業が重なりすぎていないかを、この図で確かめられます。作業は6〜10行に絞り、補助事業期間の開始と終了に縦線を引くと、期間内に収まっていることが一目で分かります。
実施スケジュールのガントチャート。横軸は月(2026年10月〜2027年9月)。作業は「機械の選定」「発注・納入」「設置・試運転」「試作」「量産開始」「販促」の6行。各作業の期間を横棒で。補助事業期間の開始と終了に縦の点線。進行中の作業だけアクセント色。
ガントチャートのページには、作業が30以上になったらフェーズでまとめる、といった注意も書いてあります。
3. ウォーターフォールチャート:売上から利益まで
収支計画の表は数字が多く、審査員は「結局いくら残るのか」を探すことになります。売上高から原価、人件費、減価償却を引いて営業利益に至る流れをウォーターフォールにすると、利益が出る構造が一枚で伝わります。投資の内訳(補助金・自己資金・借入)を積む使い方もできます。
売上高 12,000万円から営業利益 1,800万円までのウォーターフォールチャート。途中の減少は「原価 6,000」「人件費 2,800」「減価償却 900」「その他経費 500」。始点と終点の棒は濃いグレー、減少は赤系、数値ラベルを棒の上に。単位は万円。
数字は表と一致させてください。図と表で数字が違うと、計画全体の信頼性が下がりかねません。
4. 階層図・組織図:実施体制
「誰がやるのか」を文章で書くと長くなります。責任者を頂点にした階層図にして、外部の協力先(設備メーカー、コンサルタント、金融機関)は点線の枠で横に添えると、社内と社外の区別が付きます。
実施体制の組織図。最上位「代表取締役(総括責任者)」、その下に「製造部(設備導入・生産)」「営業部(販路開拓)」「管理部(経理・報告)」の3部門。各部門の下に担当者名を1名ずつ。右側に点線の枠で「外部協力:設備メーカー、認定支援機関」。
社内の分類を見せたいだけなら階層図、人と役職を並べるなら組織図です。
5. SWOT:現状分析
計画書の「自社の現状」を4枠に整理する定番です。枠ごとに3項目を目安にします。書けるだけ書くと、どれが本命か分かりにくくなります。強みの枠だけ色を付けると、事業の根拠が強みにあることが伝わります。
SWOTの4枠。左上S「強み」、右上W「弱み」、左下O「機会」、右下T「脅威」。各枠に3項目。Sだけアクセント色、他はグレー2段。枠の左上に大きく頭文字。
6. 2×2マトリクス:市場での立ち位置
競合との違いを言葉で書くと主観に見えます。価格と品質、または対応スピードと専門性のように、2つの軸で自社と競合を4枠に置くと、「どこが空いているか」を形で見せられます。
縦軸「専門性(高・低)」、横軸「価格(高・低)」の2×2マトリクス。自社を右上の枠にアクセント色で、競合A・B・Cをそれぞれの枠にグレーで置く。各枠に短いラベル。
軸の値を点の位置で正確に見せたいときは、枠に入れるマトリクスより4象限(散布型)が合います。
7. ギャップ図:現状と目標の差
「なぜこの事業が必要か」を数字で見せる図です。現状の値と目標の値を2本の棒にして、差を点線で示します。生産能力、納期、不良率のうち、補助事業で改善する指標を1つ選びます。
左に「現状:月産 600個」の低い棒(グレー)、右に「目標:月産 1,000個」の高い棒(アクセント色)。2本の間に点線と「GAP +400個」の表示。
8. ビフォーアフター:導入前後の変化
設備やシステムを入れると業務がどう変わるかを、左右で対比します。左に今の手順、右に導入後の手順を同じ観点で3〜4行ずつ並べ、間に矢印を置きます。「手作業3時間が自動で10分」のように、行ごとに数字を入れます。
左「導入前」(グレー)、右「導入後」(アクセント色)の枠を並べ、間に太い矢印。各枠に3行:「検品:目視で1個30秒 → 画像検査で1個2秒」「段取り替え:40分 → 10分」「不良率:3% → 0.5%」。
ビフォーアフターは「導入すればこうなる」と断定的に見せる図です。まだ根拠の弱い理想を描くなら、橋渡し図の方が現状から目標への道筋として示しやすくなります。
9. プロセス図:業務や生産の流れ
新しい設備がどの工程に入るのかは、流れの中で見せると分かります。工程を矢羽根で横に並べ、補助事業で変わる工程だけ色を変えます。
5工程のプロセス図。矢羽根を横に並べ、「受注 → 材料手配 → 加工 → 検査 → 出荷」。「加工」と「検査」の2つをアクセント色にして、下に「補助事業で自動化」と一言。
分岐や戻りがある流れはフローチャートにします。
10. 3つ横並びの数字:数値目標
計画書の目標を文章の中に埋めると、見落とされやすくなります。売上、利益率、生産性の3つに絞り、同じ大きさの数字で横に並べます。4つ以上並べると、どれも大きく見えません。
「売上 +35%」「営業利益率 15%」「生産性 1.6倍」を3つ横並びで。数字は同じ大きさ、間に細い縦線、下に小さく「3年目の目標」。1つ目だけアクセント色。
図を入れるときの3つの注意
数字は表と一致させる。 図の数字と収支計画表の数字が違うと、読み手はどちらが正しいのか確かめる手間を負い、計画全体への信頼が下がりかねません。
1ページに図は1つを目安にする。 図を並べると、どれも印象に残りにくくなります。私は1つに絞ることをおすすめしています。図の直後に、その図が示すことを1〜2文で書きます。
色は2色までを目安にする。 強調したい1か所にアクセント色、残りはグレー。カラフルな図は「見栄えを整えた」印象を与え、中身から目がそれやすくなります。
図の名前は辞典で引ける
ここに挙げた10種類は、ビジュアル逆引き辞典の「図解・フレームワーク」と「グラフ」に、隣の図との違いや向かない場面も含めて載せてあります。名前を知らなくても「上から下に狭まる」「階段状に浮いた棒」のような見た目から引けるので、計画書に合う図を探すときに使ってください。
別の記事でブログやSNSのアイキャッチを画像生成で作るときの「スタイルの言い方」を30種類、同じ題材で描き分けた見本と一緒に紹介しますのでぜひご覧ください。
補助金の計画書づくりを相談したいとき
図の使い分けより先に、どの補助金に出すかで計画書に書く内容が決まります。制度ごとの公募要領や締切は補助金DBで探せます。計画書の組み立てや申請の進め方は、補助金申請支援サービスでご相談を受けています。AIを業務にどう取り入れるかという相談は、AI活用のサービスページからどうぞ。


