機械や建物に大きな設備投資をする予定があるなら、地域未来投資促進税制を一度確認してください。都道府県の計画承認と国の確認を受けたうえで投資すると、その設備について特別償却か税額控除を選べる制度です。
この記事では、制度の仕組み、償却率と控除率、適用期限、進め方、つまずきやすい点を、経済産業省の税制支援ページと国税庁タックスアンサーNo.5436をもとに整理します。2026年10月時点の内容です。
地域未来投資促進税制とは
地域経済牽引事業計画に従って建物・機械等の設備投資をする場合に、法人税等の特別償却か税額控除を受けられる制度です。経済産業省のページでは、特別償却は最大50%、税額控除は最大6%と案内されています。
先に確認したい適用期限
適用期限の書き方は資料によって違うことがあります。一次情報の表記は次のとおりです。
- 経済産業省:「適用期限:2027年度末(2028年3月31日)まで」。2027年度末(2028年3月31日)までに対象施設を事業の用に供した場合が対象です(経済産業省)
- 国税庁:令和10年3月31日までの期間内に、承認を受けた事業者が施設の新設または増設をして事業の用に供した場合が対象です(タックスアンサーNo.5436、令和8年4月1日現在法令等)
どちらの表記でも、期限は対象施設を事業の用に供した日で判断されます。計画の承認や確認に時間がかかるため、期限の直前に動き出すのは避けてください。
受けられる税制優遇
特別償却と税額控除のどちらかを選びます。同じ資産について両方を重ねて受けることはできません。
| 対象資産 | 特別償却 | 税額控除 |
| 機械装置・器具備品(主務大臣の確認を受けた上乗せ要件に当てはまる場合) | 50% | 5%(経済的効果の基準でも確認を受けたものは6%) |
| 機械装置・器具備品(上記以外) | 35% | 4% |
| 建物・附属設備・構築物 | 20% | 2% |
率は国税庁タックスアンサーNo.5436の記載です。特別償却率35%は令和7年4月1日以後に取得等をしたものに適用され、それより前に取得等をしたものは40%でした。どの類型に当たるかは、経済産業省のページにある要件の図で確認します。
対象になる条件
- 青色申告書を提出する法人で、地域未来投資促進法の承認地域経済牽引事業者であること
- 承認された計画に従って、特定地域経済牽引事業施設等を新設または増設すること
- 一つの計画に定める施設または設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計が1億円以上であること
- 新品の機械装置・器具備品・建物・附属設備・構築物で、国内の事業の用に供すること(貸付けの用は対象外)
対象になる金額には上限があります。一つの施設等を構成する資産の取得価額の合計のうち、制度の対象は80億円までです。税額控除は、その事業年度の法人税額の20%が上限です。
所有権移転外リース取引で取得した資産は、特別償却は使えず、税額控除は使えます(国税庁)。
進め方
- 都道府県と市町村が作る基本計画を確認し、これに合う地域経済牽引事業計画を作る
- 事業実施場所の都道府県知事から、地域経済牽引事業計画の承認を受ける(ここから設備の着工ができる)
- 地方経済産業局に、主務大臣の課税特例の確認を申請する
- 確認書の交付を受けてから、対象設備を取得する
- 設備を事業の用に供した事業年度の確定申告で、特別償却または税額控除の明細書を付けて申告する
地域経済牽引事業の要件は、地域の特性の活用、高い付加価値の創出、地域の事業者に対する経済的効果の三つです。計画の作り方は、経済産業省が公表している計画のガイドライン(令和7年4月)にまとまっています。ガイドラインは経済産業省の税制支援ページから開けます。
主務大臣の確認の申請前には、事業実施場所を担当する経済産業局への事前相談が必要です。「主務大臣把握のための事前締切り」までに相談がないと、主務大臣が決まらず申請できません。
つまずきやすい点
- 工事の着工は計画の承認後、対象資産の取得は確認書の交付後でなければなりません。承認後でも、確認の前に取得した設備は対象外です
- 貸付けに使う資産と中古資産は対象外です
- 租税特別措置法上の圧縮記帳や、ほかの制度の特別償却・税額控除とは、同じ資産で重ねて使えません
- 中小企業者以外の法人は、税額控除を受けられない場合があります。詳細は国税庁の案内で確認してください
中小企業の設備投資には、中小企業経営強化税制の経営力向上計画もあります。同じ設備に両方の特別償却や税額控除は重ねられないため、どちらが有利かは設備ごとに比べます。経営力向上計画の側は、経営力向上計画(B類型)の解説で扱っています。
地方税の優遇もあります
承認地域経済牽引事業で新たに取得する土地・建物等については、都道府県・市町村の条例に基づき、固定資産税・不動産取得税の課税免除または不均一課税を受けられる場合があります。条例と適用期限は自治体ごとに違うため、事前に確認してください。
よくある質問
Q. 補助金と併用できますか。
今回確認した経済産業省と国税庁のページには、補助金との併用についての記載がありません。補助金の公募要領と国税庁の案内で、個別に確認してください。
Q. 承認を受ける前に発注してもよいですか。
おすすめしません。工事の着工は承認後、設備の取得は確認書の交付後と定められており、確認の前に取得した設備は税制の対象外です。
Q. どこに相談すればよいですか。
計画の承認は事業実施場所の都道府県、課税特例の確認は事業実施場所を担当する経済産業局です。税務の扱いは、顧問税理士か国税庁の窓口で確認します。
設備投資の相談
承認や確認の段取り、設備投資の計画づくりについては、ENTHRIVERの経営支援サービスから相談を受け付けています。制度の対象になるかの最終判断は、都道府県、経済産業局、税理士の確認によります。
支援サービス

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