ダッシュボードの作り方|デジタル庁のガイドブックで押さえる、載せる項目・レイアウト・公開前チェック

ダッシュボードの作り方、デジタル庁ガイドブックとAIへの指示文 AI
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ダッシュボードを作ったのに、結局だれも見ない。数字は並んでいるのに、何をすればいいかが分からない。作り始める前に「誰が何を判断するための画面か」を決めていないと、こうなりがちです。この記事では、デジタル庁が公開している「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」を下敷きに、進捗や KPI のダッシュボードを作る手順を6つに分けてまとめました。最後に、AI に作らせるときの頼み方も載せています。


下敷きにするのは、デジタル庁の「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」

デジタル庁は、政策データのダッシュボードを作ってきた実務を1冊のガイドブックにまとめ、無料で公開しています(2026年3月31日更新、59ページ)。要件の決め方からレイアウト、グラフの選び方、色、完成時のチェックリストまで入っています。行政職員だけでなく、民間企業や個人も対象にしており、そのまま使える内容です。

ダッシュボードデザインの実践ガイドブックとデザインテンプレート|デジタル庁
デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを一気呵成に作り上げることを目指します。

ガイドブックと一緒に、Power BI のテンプレートとテーマ7色、要件整理のワークシート、チェックリストも配られています。Power BI を使わない場合でも、考え方はそのまま借りられます。

このガイドブックは、ダッシュボードを2つに分けています。

  • 提示型:現状を基準と照らして、異常に早く気づき、手を打つかどうかを決めるための画面。操作は少なく、見る人に専門知識を求めない
  • 探索型:分析担当が、原因や違いを掘り下げるための画面。操作が多く、専門知識が要る

ガイドブックが扱うのは提示型です。会議で映す売上の画面や、プロジェクトの進捗を追う画面は、多くは提示型にあたります。この記事も提示型を前提に進めます。

手順1 誰が、いつ、何を判断するのかを書き出す

最初に、ダッシュボードの目的を 5W1H で書き出します。画面はまだ描きません。

項目書くこと
Why最終的に達成したいこと
What, so What画面で知るべき情報と、見た後にとる判断・行動
Who見る人の立場・業務・データへの慣れ
When見るタイミングと頻度(データの更新頻度がここで決まる)
Where見る場所と端末(会議室のモニター、PC、スマホ)
How必要な機能とデータ項目

「What, so What」はふつう複数あり、行ごとに見る人や場面が違います。たとえば売上なら、「目標どおりか確かめて上に報告する(役員が隔週の経営会議で)」と「未達の原因を探して打ち手を話し合う(チーム全員が週1の定例で)」は、同じ売上でも別の行です。1行にまとめず、分けて書くと、後で載せる情報を選ぶときの基準になります。

私が自分のプロジェクト管理用に作ったときは、こう書きました。

  • Why:並行して動いている十数件のプロジェクトで、期限切れと返事の出し忘れをなくす
  • What, so What:どれが止まっているか、自分の返事待ちは何かを知り、今日どれから手を付けるかを決める
  • Who / When / Where:自分ひとり。机の前でも外出先でも。PC とスマホ
  • How:プロジェクトごとの段階、期限、自分待ちの項目、次の一手

同時に、制約も確かめます。ガイドブックは、情報の種類が多すぎる、内容が複雑すぎる、定期的に見る必要がない、といった項目を制約の確認項目に挙げています。前の2つは情報を減らす、複雑さを下げるといった対応が取れますが、定期的に見る必要がないなら、ダッシュボードより報告書のほうが合うかもしれません。

手順2 載せる情報を一覧にして、絞る

次に、載せたい情報を表にします。列は「指標」「どの切り口で見るか(時系列、部門別、地域別)」「見る人の要望」「グラフの候補」の4つです。

そこから、4つの基準で絞ります。

  1. 目的に合う:手順1の「判断・行動」につながらない情報は外す
  2. 分解できる:全体の数字から、部門別・地域別へと、読み解ける単位まで下りていける
  3. 違いに気づける:飛び抜けた値や、上がり始めた・下がり始めた時期が見える
  4. 新しい:使える最新のデータが載り、定期的に更新される仕組みがある

もう1つ、数字を単独で置かないことも大事です。売上の金額だけを載せても、良いのか悪いのか判断できません。目標値、前年の値、前年比など、比べる相手を横に置きます。

私の進捗管理の画面では、プロジェクトごとに次の4つを載せました。

  • 進み具合:いまどの段階か、その段階のタスクがいくつ終わったか
  • 期限:近いものから並べる
  • 誰待ちか:自分の返事や承認で止まっているもの
  • 次の一手:次に何をするかを1行で

私が作った画面では、「誰待ちか」の一覧で返事の出し忘れが減りました。作業記録のあちこちに埋もれていた承認や返事の依頼が、1か所に集まったためです。

手順3 左上から読ませる骨格を決める

色やグラフの形を決める前に、どこに何を置くかの骨格を決めます。骨格が揺れているうちに見た目を詰めると、手戻りが増えます。

進捗ダッシュボードの画面例。左上に濃い青の背景で3つの数字、その下に期限と自分待ちの一覧、右にプロジェクトごとのカード

(画面例:私のプロジェクト管理用ダッシュボード。中身はダミーデータ)

ガイドブックのレイアウト例を踏まえた、骨格の決め方は次のとおりです。

  • 視線は左上から右下へ動く。 左上に、最初に見るべき全体の数字を置く。右下に行くほど細かい情報にする
  • 左上は背景色で目立たせる。 主な数字のカードは濃い色の背景に白い文字、ほかのパネルは薄いグレーの背景にする
  • 絞り込みの操作は上か左に置く。 その操作で変わる情報は、下か右に置く
  • 上にタイトル、下にデータの更新日。 「何月何日時点のデータか」が分かるようにして、出典も書く
  • 1画面に収める。 情報が多ければページを分ける

ガイドブックのテンプレートは 16:9 の画面用で、Power BI のテンプレートには 1280×720 のものがあります。ガイドブックのレイアウトグリッドは、画面を縦横に2〜6分割できるよう設計されています。パネルをグリッドの線に揃えると、整って見えます。

ガイドブックは4つの型を例に出しています。

型向いている場面骨格
A1つの指標を、構成・分類・推移から見る左上に数字、中央に構成比、右に分類別の棒、左下に推移
B複数の指標を横に並べて比べる上段に数字3つ、中段に内訳、下段にそれぞれの推移
C1つの指標を、絞り込みながら見る左列に絞り込み、中央に数字と推移、右に表
D行の多い一覧を見る左列に絞り込み、上段に数字、下に大きな表

手順4 グラフを選ぶ

ガイドブックが挙げる基本のグラフは4種類です。何を伝えたいかで選びます。

グラフ伝えるもの注意
折れ線グラフ時間の変化・傾向横軸は時間だけ。系列の名前は線の近くに直接書く
棒グラフ量の比較分類ごとの比較はまず棒。軸は0から
面グラフ構成比の時間変化構成比が要らないなら折れ線にする
円グラフ・ドーナツグラフ構成比全体の量がはっきりしていて、コンパクトに見せたいときだけ。数値を添える

分類が多いときは横棒グラフにして、値の大きい順に並べます。あいうえお順や都道府県コード順を、意味もなく使うのは避けます。

グラフのほかに、数字そのものを大きく見せる部品も使います。左上の全体の数字にはKPIタイルかビッグナンバー、プロジェクトの進み具合には進捗バーが合います。目標と実績を1本で比べたいならブレットグラフもあります。

手順5 誤解させない表現に整える

ガイドブックの「やること・やらないこと」から、特に崩れやすいものを挙げます。

  • 全体の数字と、内訳のグラフを両方出す。 内訳だけが並んでいると、全体でどうなのかが分からない
  • グラフの色は1〜5色程度に絞る。 注目させたい系列だけ濃い色にし、ほかはグレーか薄い色にする
  • 3D、影、グラデーションは使わない。
  • タイトルに中身とデータの種類を書く。 「国産自動車」ではなく「国産自動車の出荷台数(月次推移)」
  • 色だけで区別させない。 マーカーの形、線の種類、直接のラベルを併用する。白黒で印刷しても読めるか確かめる

私が自分で作ったときに引っかかった点も2つ書いておきます。

1つ目は増減の記号です。前年比の増加を「▲」で表すテンプレートを使いかけました。日本の会計や行政の資料では、▲はマイナスを表します。増えたのに、減ったと読まれてしまいます。増減は「+」「−」の符号で書き、矢印(↑↓)を添えるのが安全です。

2つ目は淡い色の見えにくさです。ガイドブックは、アクセシビリティに対応する場合、グラフの色は背景に対して3:1以上のコントラストを確保するよう求めています。ところが、テンプレートのパネルは真っ白ではなく薄いグレー(#F8F8FB)です。この上に置くと、白背景では基準を満たす色(たとえばシアンの600番)が 2.83:1 に下がり、基準を割りました。淡い色を使う場所には、数値をすぐ近くに書き添えます。数値の文字色は、背景に対して4.5:1以上のコントラストを確保します。

手順6 公開前にチェックリストで確かめる

ガイドブックには、完成時のチェックリストが付いています。分類は5つです。

  • 利用者の体験:判断に必要な情報があるか、全体をつかむ基準の数字があるか、何度も操作させていないか
  • 指標と表、グラフのデザイン:見たい数字に先に目が行くか、並び順は分かりやすいか、棒グラフは0からか、データの更新日が書いてあるか
  • テクニカル:実際に見る端末で表示が崩れないか、読み込みが遅くないか
  • データ設計:必要な頻度で更新される仕組みがあるか、比べる数字があるか、データの定義を参照できるか
  • アクセシビリティ:色だけに頼っていないか、グラフに代替テキストがあるか、元データ(CSV・Excel)を公開しているか

1つずつ「OK」「NG」で判定し、NG は直し方まで書きます。確かめられない項目、たとえば「複数の利用者から意見をもらったか」は、推測で OK にせず「未確認」として分けておきます。

ガイドブックは、公開した後も中身を更新し続けるよう求めています。どれくらい見られているか、見る人がデータに慣れてきたかに合わせて直します。

AI に作らせるときは、ガイドブックの考え方を指示に入れる

ダッシュボードの HTML や、Power BI の組み方を AI に頼む人も多いと思います。私は、このガイドブックを Claude Codeの「スキル」にして使っています。スキルは手順書と資料をまとめたもので、AI が関係する依頼を受けたときに自分で読みにいきます。

スキルを入れた場合と入れない場合で、同じ依頼を比べてみました。「棒グラフは0から」「虹色を使わない」のような一般的な原則は、スキルがなくても AI は守りました。差が出たのは、次の5点でした。いずれも、ガイドブックのテンプレートや点検の考え方を、私がスキルの指示に落とし込んだものです。

  1. 1280×720 の画面に収める(スキルなしでは、はみ出した)
  2. 左上の全体の数字を、ほかのパネルと違う見た目にする
  3. 点検で確認できない項目を、推測で OK にせず「未確認」として分けて報告する
  4. 元データを CSV や表で出し、グラフに代替テキストを付ける
  5. 淡い色に数値を添える

スキルを用意しなくても、この5点を指示に書いておけば、同じ観点を AI に伝えられます。そのまま貼れる形にしておきます。

進捗管理のダッシュボードを HTML 1ファイルで作ってください。
デジタル庁「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」の考え方に従います。

- 見る人:(例:自分ひとり。毎朝、PC とスマホで)
- 見た後に決めたいこと:(例:今日どのプロジェクトから手を付けるか)
- 載せる項目:プロジェクトごとの段階、今の段階のタスク数、期限、自分待ちの項目、次の一手

守ること:
- PC では 1280×720 にスクロールなしで収める。スマホでは1列に並べる
- 左上に全体の数字(進行中の件数、自分待ちの件数、7日以内の期限の件数)を置き、濃い色の背景に白い文字で目立たせる
- 画面の上か下に「何月何日何時時点のデータか」を必ず書く
- 色は1系統に絞り、淡い色を使うところには数値を添える。色だけで区別させない
- 増減は + と − と ↑↓ で書く。▲は使わない
- 並び順は期限の近い順。おすすめ順や優先順位は付けない
- 作り終えたら、ガイドブックのチェックリストの観点で自己点検し、確かめられない項目は「未確認」と書く

ライセンス:テンプレートを加工したダッシュボードは出典の表示が不要

ガイドブックと一緒に配られている Power BI のテーマとテンプレートは、公共データ利用規約(PDL1.0)で公開されています。テンプレートを加工して作ったダッシュボードには、テンプレートの出典の表示は要りません。加工せずにそのまま公開するときだけ、テンプレートの出典を書きます。ダッシュボードに載せるデータ自体の出典は、別に書きます。

地図データ(都道府県・市区町村の境界)は扱いが別です。国土交通省の国土数値情報(行政区域データ)を加工したものなので、使うときは国土数値情報ダウンロードサイトの利用規約を確認し、出典の表示と、加工したことの記載を付けます。

まとめ

  • ダッシュボードを作る前に、誰が、いつ、何を判断するかを 5W1H で書き出す。定期的に見ないなら報告書で足りる
  • 左上に全体の数字を目立たせて置き、右下へ行くほど細かくする。データの時点と出典を必ず書き、1画面に収める
  • AI に作らせるときは、「1画面に収める」「左上の数字」「時点」「未確認を分ける」「淡い色に数値」を指示に入れる。私の比較では、軸を0から始めるような一般的な原則は、書かなくても AI が守っていました

このダッシュボードを実際に作った経緯と、抜け漏れを防ぐための運用は、note に書きました。

Claude Codeで回すプロジェクトが追えなくなったので、デジタル庁のガイドブックをスキルにして進捗ダッシュボードを作った|ENTHRIVER
Claude Code と Codex にどんどん依頼して開発や検討をお願いしていたら、動いているプロジェクトが20件近くになってきました。ここまで来ると、どれがどこまで進んだのか、私が何を返事すれば先に進むのか、頭の中だけでは追いきれなく…

自社のダッシュボードづくりを相談したいとき

私は自分の業務用に、案件の進み具合をまとめる画面を AI と一緒に作りました。御社の業務に合わせて、何を載せるかの整理から、AI を使った画面づくりまで進めたい場合は、AI導入支援で相談を受け付けています。

出典

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